~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 そこでクラフトは、ランデルシア家とペリエライツ家の両家の長女のどちらかと婚約できれば、自らの能力的に第一王子と争うことも可能だと考えた。

 そして、ふたりの令嬢を天秤にかけ、まず選んだのがランデルシア家のラナリーという娘だった。幾度か彼女とは、王宮の開催した茶会で話したこともある。目立った長所はないが、貴族同士の力関係をよく把握しており、何事もそつなくこなす娘だ。きっとラナリーならば、将来自分の隣に立ってうまく公務をこなしてくれるだろう。

 そう思った直後……。

 クラフトが父に働きかけ、婚約に動き出そうとしたその矢先、突然ランデルシア家は第三王子アルサイドの後援を表明する。これにより、第一王子との婚約が内定しているフーバー家を除くと、クラフトの選択肢はひとつに絞られてしまう。

 残るは、貴族の間でもあまりよい評判を聞かない、性悪令嬢ジェミー。彼女は高慢ちきで、相手が自分より格下と見ればところ構わず暴言を吐き、気に入らない人間は徹底的に苛め抜く最低の人物。
 だがクラフトが欲するのは、王座を手にするための足掛かりだ。幸い、彼女は自分に好意を持っているようだし、人格面は後で矯正すればどうとでもなる。もし反抗的な態度を貫くようなら、それなりの飴と鞭を与えてコントロールしてやればいい。
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