~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「こんなのでよく街の人たちは暮らしていけてるわね」
「助け合って物々交換でなんとか凌いでるらしいけどね。でもやっぱり、揉め始めるとトラブルで大変みたいだよ。ほら」

 ジェミーの疑問に答えるようにカーライルが指差した方向では、店の前で言い争いが起きている。
 おそらく街人が店主に、商品と持ち物を交換したいと申し出たのだろう。すでに掴み合いの小競り合いに発展しており、彼がさっと手を上げると、街頭警備の兵士が気づいてくれて、その場にすっとんでいく。

「大使館も外見はひどかっただろ? 実はレビエラ王国から送ってもらってる物資を目当てに一度襲われててね。主犯格の人間たちは捕らえたからいいものの、たまったもんじゃなかった。ボクたちだって帝国のために、周辺諸国に和解を説いてあげているっていうのにね」

 カーライルは草臥れた様子で小さく笑う。
 レビエラ王国側としても、いきなり国境線を接した巨大国家が立ち行かなくなれば、どのような影響が出るのか計算できない。なので外交官も、先日の事件は不幸な行き違いによるものだと同盟各国に説いて回っているのだそうだが、一度そういう認識が広まると、どこの国もそう簡単に手のひらを返すようなことはしてくれないのだろう。
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