~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 赤毛のかつらをかぶり、胸をさらしでしばったり衣服の中に詰め物をして体型を調整、女性としてはやや高めの身長をブーツでかさ上げする。そして王太子の伝手を借り、本日クラフトがパーティーで纏うものとよく似せた衣装を入手。その中には運がいいことに分厚めのマントもあり、全体像も調節できた。よほど間近で見られない限りはバレないだろうと、父からもお墨付きをもらっている。

 そんなミリィはここ数日で練習しておいた、ジェミーのそばで幾度か聞いたクラフトの声真似をして、近衛たちに命令する。

「確認しておきたいことがあるから通してくれ。このところ予定が立て込んでいてね、誕生日だなんて、子供みたいに浮かれていられないのがつらいところだよ。ははは」
「お待ちください」

 そのまま自然に隣をすり抜けようとしたが、そこで片方の近衛がなんらかの違和感を持ったのか引き留めてきた。さすがに優秀だ。姿形を似せていても、振る舞いや表情、わずかな声の抑揚の違いから異変を読み取ったのか。
 近寄られるのはまずいと、ミリィは気分を害したかのように腕を払い、少し距離を取らせる。

「いったいなんだい? 仕事に責任を持って務めてくれているのはありがたいが、今私は急いでるんだ。後にしてもらいたいんだがな」
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