~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 近衛の国への忠誠心を見誤った!? 
 手を伸ばしてにじりよる近衛に、ミリィが涙目になって身を翻そうとした時。

「おや、弟よ。こんなところでなにをしている」
「デッ、あ、兄上!」

 一瞬間違えかけたがなんとかごまかし、ミリィはクラフトを装ったままデール王太子と相対する。彼の瞳はにやにやと楽しそうに細められている。
 こちらから声をかけないのも不自然と、どうにかミリィは言葉を発した。

「お部屋にいらっしゃったのですか。もしかして、珍しく本日は皆と共に私の生誕を祝ってくださるので?」
「ハ、馬鹿を言うな。俺以上に貴様の存在を疎んじている者はおらぬわ。そんな些事(さじ)に浮かれたやつらと話すのも億劫で、こうして自室に戻ってきたというわけだ。しかし、ククッ、近衛にまで自らの行く手を塞がれるとは、貴様にはほとほと王族としての威光が足りておらぬらしいな。将来下らんことで足を引かれぬためにも、今ここで継承権など放棄し、自らの立場を弁えていることを示したらどうだ?」
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