~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 あくどい笑みで、デールは近衛たちに疑われるミリィを嘲笑った。演技なのか、こうした喧嘩が日常茶飯事なのかは知らないが、これはチャンス。

「兄上からはそう見えますか。しかしこれでも、我が下で働きたいと言ってくれる人材は少なくないのですよ。はたして、我々がどの程度人の心を掴めているのかは、王位継承の儀が行われるその時に明らかになるでしょう。楽しみですね」

 自らの味方の方が多いとほのめかし、にこやかな表情を作りながらも視線だけは王太子と戦わせる。
 本来ミリィでは役不足だが、ここで我慢できなければ後はない。迫真の演技を保っていると――デールがガン、と靴のかかとで地面を蹴った。

「チッ、忌々しい。俺が国王となった暁には、政治や贅沢とは無縁な辺境の地でも飛ばしてやる。そこで一生、玉座に手をかけようとした不遜を悔いて過ごすがいいわ」

 そう吐き捨てて指を突き付け、とんでもなくキツイ目で睨みつけるとデールは踵を返していった。本物の威圧感に近衛たちと一緒になって寒気を覚えながらも、かろうじてミリィはクラフトを演じることを忘れなかった。
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