～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

　するとジェミーはむくれた表情でルゼを睨む。

「なんか腹立ちますね。じゃあ言ってあげます。絶対にうちの家族を見つけ出して戻ってこないと、承知しませんから」
「そうそう。そのくらいがちょうどいいよ」
「ルゼ様、なんか気持ち悪い」
「ひどいな。まあでも、君と僕とはそんなもんでしょう」

　なんだかんだでジェミーが調子を取り戻したように思えて安心すると、ルゼはソファから立ち上がった。彼の方も、屋敷の者に任せきれない仕事はある。事件の調査と並行しているとなかなか大変なのだ。

「それじゃ、そろそろ僕もいかなきゃ。お互い忙しい身なんだ、今度会う時は絶対にいい土産話を持ってくるから、期待していてくれ」

　それに部屋の内側で待機した使用人がそわそわするのも目につく。おそらく当主代行のジェミーも仕事が立て込んでいるのだ。あまり長居して彼女に負担をかけたくない。
　玄関前まで見送りを受けると、短い別れの言葉を投げかけた。

「じゃあね、ジェミー。体には気をつけて」