～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

　戻って早々ペリエライツ家の行く末を案じることになったミリィは、情けない顔をしながらジェミーにもうひとつだけ、追加の情報を与えた。

「そういえば御嬢様、もうひとつお耳に入れて置きたいことがありまして」
「なぁに？」
「ジェミーズ・ドロアーのことです」
「なにかあったの？　まさか、辞めたいっていう人でも現れたとか？」

　個々人の希望に合った作業内容やフレキシブルな労働時間、急な休みにも対応できる、豊富な従業員数。
　ジェミーなりに、前世みたいなハードワークにならないよう、できる限り労働形態はホワイトなものになるよう手を尽くしたつもりだが、それでも人が辞める時は辞めるもの。

　経営者として、事態を厳粛に受け止めようと背筋を正していたら、ミリィは顔の前でぶんぶんと手を振った。どうもそういうことではないらしい。

「いいえ、職場環境についてはあの好待遇ですからなかなかその心配はないかと。募集していないにもかかわらず、日々働きたいと問い合わせが来るほどらしいですし。それより問題は、店の外に発生したのです～」
「外？　誰かがあの店に悪さしてるってこと？」