～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

　そういえばジェミーは、王都で商売をする上での規則などをよく把握していない。もしかしたら、市場ごとにその地域を取り仕切る組織などが存在するのだろうか。
　パネマからはなにも聞いていないが、マフィアの元締めみたいなやつらが押しかけて「おたくら、この場所で働くならわかってるよな？　へへへ」なんて脅しをかけられているところを想像すると、つい憤りを覚えてしまう。

「いったい、どこのどいつがそんなひどいことを!?　よし、即刻ペリエライツ家の総力を持って叩き潰してやるわっ！　者どもー、槍を持てい！　かちこみじゃーっ！」

　そこかしこから使用人たちが反応してわらわら出てくるのに焦りつつ、ミリィはジェミーを引き留めた。

「ちょっとちょっと御嬢様、それはまずいですよ！　相手も別に表立ってこちらに嫌がらせをしているわけじゃありませんし」
「えっ？　みかじめ料を取りに来たんじゃないの？」
「へっ？　違いますけど」

　どうも話が噛み合わないので、ジェミーは久しぶりにミリィ手ずから淹れてもらった紅茶を飲みつつ、落ち着いて事情を聞くことにした。
　すると、だんだん雲行きが怪しくなってくる……。