～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「デール王太子とクラフト殿下のどちらが次期国王に値するかなんてわからないけど、私だったらどちらも選びたくないわね。彼らは私だけじゃなく、私の家族まで王位継承争いの道具にしようとしたのよ！　それはあなたに対しても同じなんだって、そろそろ自覚しなさい！」

　そして終いには、これまでの溜めに溜め込んだストレスを般若の表情にのっけ、いたいけな目の前の少女にぶちまけてしまった。

「あーもう、うん・ざりっ！　勝手に王妃にでもなんでもご自由におなりなさいな！　でもねっ……家族と一緒に幸せに暮らしたいだけの私を、もう金輪際、こんなくだらないことに巻き込まないで――――っ!!」
「そ、そんなぁ～～～!!」

　呆然とそれに聞き入ったセニアは、ローズピンクの瞳の中からぼろぼろと、ガラス玉のような大粒の涙をこぼし始める。
　そしてまるで幼い子供のように泣きじゃくった。

「ごめんなさい、ごめんなさい。私、そんなことになっていたなんて、なにも知らなくて」

　無垢な少女のように肩を震わせ続ける彼女を見ていると、次第にジェミーはこちらが小動物を苛めているような気分になってくる。誰かが泣くのを見るのは本当に苦手だ。
　仕方なく、ハンカチを手にし、ぐりぐりと彼女の涙に押しつけるようにして拭う。