~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
「私、ペリエライツ公爵家のジェミーというの。会長のジェイク氏に伝えてもらえる? 現在そちらとの間で起こっている問題について、交渉しに来たと」
「こ――!? こここ、こうしゃしゃしゃくけの!? 少々お待ちを!」

 泡を食った案内係が走ってゆくのを見送り、ジェミーはロビーのソファに腰を優雅に落ち着け、通行人の視線をかっさらった。そうしている内に、あちこちを調べて戻ってきたミリィにこっそり訊いてみる。

「ミリィ、どうかしら。人を隠せそうなところとかありそう?」
「どうでしょうね~、なにせ大きな建物ですから。でも、あまり目立つ場所に誰かを軟禁するのは好ましいとは言えないのでは?」

 ミリィは耳を澄ませたり床を靴で叩いてみたりして空間の反響具合を確かめていたようだが、建物の規模を考えると、怪しい箇所を特定するのは難しいだろうとのことだ。
 それでも彼女の言うように騎士団などの手入れがある時真っ先に目標にされそうなのがここだし、人の出入りも激しく、外部の人間も忍び込みやすい。もし襲撃犯がジェミーでも、ここに長期間誰かを監禁しようとは思わない気がする。

(木を隠すには森って考えもあるにはあるけどねぇ……)
(上階は厳重に警備されていますし、忍び込むのはかなり骨が折れそうです~)
(今はまだいいわ。にっちもさっちもいかなくなったらお願いするかもだけど)
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