~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 そんなこそこそ話をしながら、それなりの時間が経った。
 本人が所用でここにいない可能性もあったし、後日に面会予定を申し込む形にでもなるかと思っていたが、意外にもその日のうちに上へと通されることに。どうやら会長殿はご在室らしく、いきなりアポも取らずに来た小娘と顔を合わせてくれるようである。結構暇か?

 長々と目が痛くなるような光物だらけの階段を登らされた末に現れた、ワンフロアぶち抜きの会長室。そこで彼女を迎えたのは、成金剥き出しでアレなセンスの衣装はともかくとして、甘いマスクが魅力的な二十代後半くらいの神秘系イケメンであった。

 どうやら彼が、ジェイク・ロドリエ本人で間違いないようだ。
 うーむまったく、女性にとっては目の保養が容易い天国みたいな世界である。そして作者はどうして彼を物語に登場させてくれなかったの? 結構格好いいじゃん! メインキャラにに並んでても遜色ないよ!

 そんな心の叫びが漏れる前に、ジェミーはつとめてお淑やかにドレスを摘まむとお辞儀をした。

「事前に約束も取りつけもせず、無理にお会いしていただきまことに恐縮ですわ。ジェミー・ペリエライツと申します。今は若輩ながら当家の当主代行を務めておりますの」
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