~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
 そう、シェリンだ。

 貴族を(あざむ)いたほどジェミーとそっくりの姿をした彼女ならば、入れ替わってもおそらく数日間気づかれないままで過ごすことはできるはず。
 そのためには、まず彼女と連絡をとる必要があるが、しかし監視の多い今の状態では外部とのやり取りは困難。

(と、誰もが思うでしょうけど、うちのスーパーメイドを舐めるんじゃないわよ~)

 そこでジェミーは小さく舌なめずりした。
 そう、そばにはなんといっても頼もしいミリィの存在があるのだ。さすがに彼女も四六時中ジェミーについているわけではなく、就寝時には屋敷の使用人部屋に戻る。

まずはそこからが勝負。彼女を夜間うまく屋敷から抜け出させて、前日にベッドの中で怪しまれないように作成した手紙をシェリンのもとへ届けてもらった。

 後から聞いた話によれば、ミリィは屋敷の食堂から外につき出た煙突を登り、屋根伝いに移動。そこから、アメコミヒーローの蜘蛛男顔負けの機動力で巡回警備の目をかい潜って木の上に昇り、屋敷の囲む壁に飛び乗って見事脱出したらしい。
 さっすが騎士団長と敏腕スパイの血を受け継ぐサラブレッド。彼女でなければ途中で見つかっていただろう。
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