～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「お前は、我ら騎士団の仕事に手抜かりがあったと申したいのか！　そんなことは話を聞いた時点でとっくに行っておる。この王宮に、我らの知らぬ隠れ場所があるというなら、我の方が教えてもらいたいものだなッ！」
「そそ、そうは言っておりませんが！」

　長年王国を守ってきた騎士団長の逆鱗に触れ、もはやブラウンは逃げ出しそうな顔色だ。しかし、彼とて居心地の悪いこの騎士団から逃げるように脱退して以降、ただ管を巻いて過ごしていたわけではない。己なりに、妹のミリィや公爵家を支えるために奔走してきたのだ。

「父上！　自分もこの団に一時は在籍した身。厳しい規律のもとに統制された騎士たちの力量に疑いを持つわけではございませぬ。しかし、王都内を調べ尽くした今、何者かが身を潜める場所として、ここ以上に適当な建物が見当たらぬのです！」
「だからそれは我々の管轄だと言っているっ！　一度その頭をかち割られてみなければ分らんか」
「父上の方こそ、その石頭をそろそろ柔らかくせねば部下に見捨てられますぞ！」
「なんだと!?」
「まあまあ、おふたりとも。こうして顔を突き合わせているのは親子喧嘩のためではありません。意味のある話をしましょう」

　意地の張り合いで掴み合いになったふたり。その間に割り込むと、ウィリアムが意外な力強さで親子を遠ざけ、そしてガーフィールに尋ねかけた。