すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
強い口調で否定され、目をまたたく。
きょとんとする美咲に、大翔はバツが悪そうに視線を逸らした。
「元々体調を崩してたんだけど、あの日急に高熱が出たんだ。さすがに訓練に響くし悪化させるわけにはいかなくて、苦渋の決断で美咲に予定を変更させてほしいと連絡した」
「そんなの、私にはひと言も……」
「美咲と一緒だよ、カッコ悪いと思われたくなかった。四つも年上で、俺がリードしなくちゃって背伸びしてたんだ。厳しい訓練にへばって体調を崩したなんて、絶対に言いたくなかった」
そんな話をバックヤードで男性の同僚としていたらしい。佐奈はそれを近くで聞いていて、美咲を揺さぶるつもりで嫌みをぶつけたのだろう。
あの頃の美咲にとって、大翔はすでに完璧な大人の男性だった。けれど今改めて考えてみれば、当時の彼は入社したばかりの二十三歳。なにもかもスマートにこなせるかといえば、きっとそうじゃなかったはずだ。
「ごめん、俺が変な見栄を張ったせいだ。でもこれでわかったよ。美咲が俺を信じられないと言っていた理由が」
大翔が真剣な眼差しで美咲を見つめる。