すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

「アルコール検査に引っかかって訓練を離脱して、会社も辞めた。優秀ではあったけど、多くの人の命を預かるパイロットとしての素質はなかったんだ。無責任な人間に飛ぶ資格はない」
「そう、だったんですか」

言葉が見つからず、美咲はただその話を飲み込むように頷いた。

「たくさん不安にさせて、本当に悪かった」
「私も、一方的に関係を断ってしまってごめんなさい」
「美咲」

大翔が握っていた手をすくい上げ、その甲にそっと唇を寄せた。

「話してくれてありがとう」

突然の行動に、美咲はひゅっと息をのむ。
八年も前の不満を今さらながら打ち明けて、お礼を言われるとは思っていなかった。

「乗務が始まれば月の半分は家にいられないし、この歳で出戻ってきたパイロットもそうそういないから、なにかと注目されて俺の噂話を聞くことがあるかもしれない。それでも俺は絶対に美咲を裏切らないし、二度と不安にさせないと約束する」
「どうして、そこまで言ってくれるんですか?」
「美咲が好きだから」

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