図書館でうたた寝していたらいつの間にか王子と結婚することになりました
◇
そんなこんなで、その人が不定期にここへやってくるようになって早一か月が経った。
「君は、いつもここにいるんだよね。飽きない?外に出たいとは思わないの?」
中央にある巨大な丸テーブルの一角に座り、その人は肘をつきながらそう言った。私はその人にお茶を出して隣に座る。最近は一緒にティータイムまで過ごすようになっているからずいぶんと不思議な関係だ。でも、この人が来るのがなぜか待ち遠しくなっているし、忙しくて来れないのだろう時にはなんだか寂しく思ってしまうくらいにはこの人がここにいるのが当たり前のようになっていた。
「外にならお休みの日に出ていますよ。散歩とか、買い物くらいですが。それにここは居心地がいいので飽きることはありません。好きな本が読み放題ですから」
そう言って微笑むと、その人は目を丸くしてからそっかぁと優しく微笑んだ。
「結婚は?婚約者とかはいないの?君、見た目は申し分ないんだし公爵家のご令嬢なんだからそういう話があってもおかしくないと思うんだけど。所作だってちゃんとしてるし、申し分ないと思うんだけどな」
「いませんね。急いでしろとも言われません。私はあまり社交的ではありませんし、この仕事ができれば十分幸せです」
「……そっか。だったら、俺の期間限定の婚約者になってくれない?」
ブフォッ
飲みかけのお茶を盛大に吹いてしまった。何を突然言い出すんだろう。お茶を吹きだすなんてはしたないけど、これは仕方ないと思う。
「す、すみません。あまりに急で……」
「あはは、そうだよね。いや、俺の婚約話がいよいよ決まってしまいそうなんだけど、俺は絶対に嫌なんだ。相手のご令嬢のことがそもそも苦手だし、何より勝手に相手を決められるのが気に食わない。そこでだ、君だったら婚約者でもいいなって思ったんだ」
にこにこと屈託のない笑顔を向けてその人はそう言った。ええ、私が婚約者?その発想はどうしたら生まれるんだろう。この人は申し分ないと言ってはくれたけれど、容姿は栗色のロングの髪に蒼色の瞳で可もなく不可もなくパッとしない見た目だ。正直、こんなに綺麗な人の婚約者に向いているとは思えない。こんなに素敵な人なら、我こそが婚約者にと言い出すご令嬢は後を絶たないだろうに。
そんなこんなで、その人が不定期にここへやってくるようになって早一か月が経った。
「君は、いつもここにいるんだよね。飽きない?外に出たいとは思わないの?」
中央にある巨大な丸テーブルの一角に座り、その人は肘をつきながらそう言った。私はその人にお茶を出して隣に座る。最近は一緒にティータイムまで過ごすようになっているからずいぶんと不思議な関係だ。でも、この人が来るのがなぜか待ち遠しくなっているし、忙しくて来れないのだろう時にはなんだか寂しく思ってしまうくらいにはこの人がここにいるのが当たり前のようになっていた。
「外にならお休みの日に出ていますよ。散歩とか、買い物くらいですが。それにここは居心地がいいので飽きることはありません。好きな本が読み放題ですから」
そう言って微笑むと、その人は目を丸くしてからそっかぁと優しく微笑んだ。
「結婚は?婚約者とかはいないの?君、見た目は申し分ないんだし公爵家のご令嬢なんだからそういう話があってもおかしくないと思うんだけど。所作だってちゃんとしてるし、申し分ないと思うんだけどな」
「いませんね。急いでしろとも言われません。私はあまり社交的ではありませんし、この仕事ができれば十分幸せです」
「……そっか。だったら、俺の期間限定の婚約者になってくれない?」
ブフォッ
飲みかけのお茶を盛大に吹いてしまった。何を突然言い出すんだろう。お茶を吹きだすなんてはしたないけど、これは仕方ないと思う。
「す、すみません。あまりに急で……」
「あはは、そうだよね。いや、俺の婚約話がいよいよ決まってしまいそうなんだけど、俺は絶対に嫌なんだ。相手のご令嬢のことがそもそも苦手だし、何より勝手に相手を決められるのが気に食わない。そこでだ、君だったら婚約者でもいいなって思ったんだ」
にこにこと屈託のない笑顔を向けてその人はそう言った。ええ、私が婚約者?その発想はどうしたら生まれるんだろう。この人は申し分ないと言ってはくれたけれど、容姿は栗色のロングの髪に蒼色の瞳で可もなく不可もなくパッとしない見た目だ。正直、こんなに綺麗な人の婚約者に向いているとは思えない。こんなに素敵な人なら、我こそが婚約者にと言い出すご令嬢は後を絶たないだろうに。