マリアンヌに私のすべてをあげる

振り返ればそこにマリアンヌ


そろそろクリストファーがマリアンヌにプロポーズでもしに行ってる頃かなーー。
ベタな恋愛映画みたいなシチュエーションでプロポーズとかしちゃってんだろな。
まっ、あの男はな〜〜にしても絵になる男だしっ。
何より一途にずーーとマリアンヌを想い続けてきた文句の付けどころがないピュア野郎だ。
……尻軽で汚れちまってる私やレオナルドとは違って……

マリアンヌに相応しい相手だ。

あーー幸せな結婚ができんだろうな〜〜。
はぁ……めちゃ似合いの夫婦になりそうじゃん。
子供だって可愛いんだろな……
て、想像してたら胸が疼いてきやがる。

これだから男と女の恋愛事は……んっ、てか女同士か。
私が初めて本気でスキになった相手が女だなんて笑える。

……でもさ……そんなことどうでもいいんだよ……
他の誰でもないマリアンヌだから私はスキになったんだ。

ーーマリアンヌだから……

こうなりゃ女豹アドリアナでも呼びつけて、やけ酒でもして呑んだくれるか!!
あの女もクリストファーがマリアンヌと結婚するって知ったら発狂しそうだもんなっ。
いや待てよ……婚約破棄すんのはレオナルドなんだから、酒盛りするどころかガチで私の命が危ねぇ……
ぜってぇアドリアナに恨まれるし、一生当たり散らされる……ゾッとすんな。

それにしても、いつんなったら胸の痛みは癒んだ……いつまでもこのままなのか?
本気で人をスキになるっつーーのは、なかなかハードなことだったんだなぁ。

この花と緑の楽園で過ごすのもマリアンヌと一緒だったから楽しかった。
今となっては花も緑もどーーだっていいわっ。
もともと興味ねぇし。

そういや、あっちの方にマリアンヌが喜んで見てたマリーゴールドの花があったよな。

花壇へと走り寄りマリーゴールドの花に視線を注ぐ。

ーーウゲッ、、枯れてる……

おいっ!!もっと気合い入れて咲いとけよッ!!そんな枯れた花見せられたらこっちまでヘコむわ!!これじゃまるで私じゃん。

ああ、寝ても覚めてもマリアンヌのことばっか……
あの眩しい笑顔も、あの手のぬくもりも、あの柔らかな髪の感触も……何もかもが私から離れやしない……

ーー手ぇ伸ばしたって……もう届かないとこにいんのに。

柄にもなく泣けてくんな。
ただ一つの安らげる場所もなくなって、私は本当のひとりぼっちになっちゃった。

ーー結構キツイよな……

マリーゴールドが……ぼやけて見える。


『アスカさん!!』

な、なんだ幻聴が聞こえる……またマリアンヌの優しい声で名前を呼んで欲しいって想いが、幻聴まで引き起こすとは……こえ〜〜よな〜〜。

『アスカさんっ!!』

えっ!?
ま、まさか、幻聴じゃないのか!?

ドギマギしながら振り返ってみると、そこにはマリアンヌの姿が……

ーーま、ま、マリアンヌッ!!

そうか……これは幻覚を見てるのか……
またマリアンヌに逢いたいって想いが幻覚まで引き起こすとは……恐ろしいもんだよな。

『どうして返事をしてくださならいの?』

えーーーーッ!!!!
ほんもんッ!!??

『ご、ごめん。な、なんで、ここにいるの?』

『会いたかったからです……』

え・・・なんでっ!?

『そ、それは会いに来てくれんのは嬉しいけど…… 婚約者同士じゃなくなるんだからここには来ないほうがいいよ』

『私…… アスカさんに聞いて欲しいことがあるんです』

どうしたんだろマリアンヌ、神妙な面持ちだ……。






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