【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!
その思いだけを胸に手と足を動かしていく。
ガラガラと横で土が崩れて落ちていった。
下を見ても地獄、上に行っても地獄かもしれないと思うとどうにかなってしまいそうだ。

(もうちょっと……! もう少しで頂上に手が届くっ!)

岩の上に手が届いてホッとする。
ただ根性とやる気だけだけで上がっていく。


「ぐぅ……っ!」


そして頂上に到達した時だった。
見えたのは木々に覆われた陸地と……。

……人だった。


「は…………?」

『誰だ、お前』


頭に直接響く声に違和感を感じて額を押さえた。
目の前の男性の唇は一切、動いていない。
それにこんなに太陽の光がこんなにあたっているのにまったく日焼けをしていない白い肌に違和感を覚えた。

首にかかるほど伸びた襟足と髪色は月のような銀色だった。
長いまつ毛は髪色と同じで神秘的だ。
瞳は海のように光に反射してキラキラと輝いて見える。

少し驚いた表情、まるで作りもののようだった。
鼻筋が通っており、切れ長の大きな瞳は猫のよう。
形のいい唇とシャープな顎は男性を中性的に見える。
スラリと伸びた首には不思議な模様が描かれている。
蜘蛛の巣のように広がっていて喉を覆っていた。
白い布を巻いているような服が尚更、神々しさを引き立たせていた。


『おい、聞いているのか?』


視線は上へと移すとやはり唇が開いている様子はない。
この男性が誰で何者かよりも、人と会えた安心感に涙が込み上げてくる。


「……ぐすっ」

『なんだお前……』

「うっ……うぇっ……!」
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