公爵令嬢の婚活事情〜王太子妃になりたくないので、好きな人と契約結婚はじめました〜
「つ、疲れたぁ」
初めての労働にシルヴィアはぐったりとテーブルに伏せる。
遊びに来るのと働くのではまるで違う。
アルバイトなので雑務ばかりだけど、初めてで分からないことも多く戸惑いばかりの一日だった。
「学校で習ったこと、何にも役に立たない」
私ダメな子と萎れかけていたシルヴィアに、
「お疲れ様です、シルさん」
コトッとお茶が置かれる。
「ベロニカお姉様! あ、じゃなくて社長夫人」
「ふふ。就業時間は終わってますし、いつも通りの呼び方で構いませんよ」
ベルさんがここで働いてる時もいつも通りの呼び方でしたし、と優しく笑いかける。
「蜂蜜レモンティーです。疲れが取れますよ」
良かったらどうぞと勧められシルヴィアはコクンと口にする。
「すっごく美味しい。わぁ、染みる」
「でしょう!」
自家製ですよ、とドヤ顔のベロニカ。
「私、来年からやっていけるでしょうか」
「1年目はゆっくり覚えていったらいいのですよ」
福利厚生には自信ありですよ? と言ってシルヴィアの口にマカロンを放り込む。
「美味しいっ! コレどこのですか?」
「手作りです」
「ベロニカお姉様本当にお料理上手!」
私も見習いたいというシルヴィアを見ながら、
「ふふ、ありがとうございます。でもこれは私の手作りじゃないのですよ」
お預かりしていた差し入れですとベロニカは笑う。
誰から? とシルヴィアが聞くより早く、
「今日から新居ですよね」
とベロニカから話題を振られる。
「はいっ」
荷物は送ったので今日このまま帰る予定です、とシルヴィアは先日ハルから受け取った鍵を嬉しそうに見せる。
「イースト街って実は行ったことなくて」
ちゃんと辿り着けるかしら? とシルヴィアは少し不安そうに話す。
王都内はエリアごとに特色が変わる。
シルヴィアが住んでいる上流階級の貴族の邸宅が並ぶ王城にほど近いところにある特区。
貴族のタウンハウスや上流階級御用達の商業施設が多く並ぶサウスエリア。
下級貴族や裕福層の住まいや御用達の店が並ぶウエスト街。
ストラル社のような会社が並ぶビジネス街であるノースエリア。
そして、庶民の生活圏であるイースト街。
生粋のお嬢様であるシルヴィアにイースト街への用事はなく、当然立ち入った事がない。
「首都圏内は治安が良いですから、そう心配することもありませんよ」
活気があっていいところですよ、と説明したベロニカは、
「心配ならおうちまで案内人をつけましょう」
特別サービスですと言ってシルヴィアに帰宅を促した。
初めての労働にシルヴィアはぐったりとテーブルに伏せる。
遊びに来るのと働くのではまるで違う。
アルバイトなので雑務ばかりだけど、初めてで分からないことも多く戸惑いばかりの一日だった。
「学校で習ったこと、何にも役に立たない」
私ダメな子と萎れかけていたシルヴィアに、
「お疲れ様です、シルさん」
コトッとお茶が置かれる。
「ベロニカお姉様! あ、じゃなくて社長夫人」
「ふふ。就業時間は終わってますし、いつも通りの呼び方で構いませんよ」
ベルさんがここで働いてる時もいつも通りの呼び方でしたし、と優しく笑いかける。
「蜂蜜レモンティーです。疲れが取れますよ」
良かったらどうぞと勧められシルヴィアはコクンと口にする。
「すっごく美味しい。わぁ、染みる」
「でしょう!」
自家製ですよ、とドヤ顔のベロニカ。
「私、来年からやっていけるでしょうか」
「1年目はゆっくり覚えていったらいいのですよ」
福利厚生には自信ありですよ? と言ってシルヴィアの口にマカロンを放り込む。
「美味しいっ! コレどこのですか?」
「手作りです」
「ベロニカお姉様本当にお料理上手!」
私も見習いたいというシルヴィアを見ながら、
「ふふ、ありがとうございます。でもこれは私の手作りじゃないのですよ」
お預かりしていた差し入れですとベロニカは笑う。
誰から? とシルヴィアが聞くより早く、
「今日から新居ですよね」
とベロニカから話題を振られる。
「はいっ」
荷物は送ったので今日このまま帰る予定です、とシルヴィアは先日ハルから受け取った鍵を嬉しそうに見せる。
「イースト街って実は行ったことなくて」
ちゃんと辿り着けるかしら? とシルヴィアは少し不安そうに話す。
王都内はエリアごとに特色が変わる。
シルヴィアが住んでいる上流階級の貴族の邸宅が並ぶ王城にほど近いところにある特区。
貴族のタウンハウスや上流階級御用達の商業施設が多く並ぶサウスエリア。
下級貴族や裕福層の住まいや御用達の店が並ぶウエスト街。
ストラル社のような会社が並ぶビジネス街であるノースエリア。
そして、庶民の生活圏であるイースト街。
生粋のお嬢様であるシルヴィアにイースト街への用事はなく、当然立ち入った事がない。
「首都圏内は治安が良いですから、そう心配することもありませんよ」
活気があっていいところですよ、と説明したベロニカは、
「心配ならおうちまで案内人をつけましょう」
特別サービスですと言ってシルヴィアに帰宅を促した。