公爵令嬢の婚活事情〜王太子妃になりたくないので、好きな人と契約結婚はじめました〜
「……ここかしら?」
地図を片手に聞いていた住所の前で立ち止まったシルヴィアは独り言のようにつぶやく。
「にゃー」
それに答えるようにシルヴィアの腕の中で鳴いたのは、案内人もといベロニカの黒猫。
とっても優秀なのですよと言われ、正直猫!? と侮った事を謝りたい。
可愛いし道中心細くないからいいかくらいに思っていたのだが。
「あなたのおかげで無事つけたわ」
人生初、辻馬車の乗り場が分からず困っていたらイースト街行きの馬車乗り場前まで案内してくれたし、迷うたびに鳴き声で誘導してくれた。
「ありがとう」
「にゃー」
ドヤーと聞こえるのは気のせいではないだろう。くすっと笑って頭を撫でると、ストンとシルヴィアの腕から降りた。
「思ったより、大きな家」
昔ベルが公爵家の物置部屋に住んでいた時に、謝罪とともに部屋を移動しないかと提案しに行ったことがある。
あんな狭い部屋にずっといるのは息が詰まるでしょ? と言ったら、
『この部屋は庶民のアパートの一室よりずっと広いのですよ』
好きで住み着いてるのでお気になさらずなんて笑い飛ばされたけれど、公爵家の物置部屋よりずっと広そうな外観。
「ベルったらオーバーね」
二人暮らしなら十分ね。もう少し荷物持ってくれば良かったかしら? なんて思っていると。
「そういえば、この数字って何かしら?」
住所の後ろの数字と家の外になんでこんなにドアがあるのかしら? それにこの階段は何? と首を傾げていると、
「にゃーにゃー」
足元で黒猫がくるくる周り、シルヴィアを見上げたあととてとてと歩き出す。
「着いてこいってこと?」
黒猫の後ろを追いかけるとトントンと軽快な足取りで黒猫は階段を上がっていく。
2階の一番奥で止まった黒猫を捕まえて、ドアを見ると住所の最後に書いてあった番号と同じ番号がドアに付いていた。
「あれ、これって?」
「にゃー」
一際大きく鳴いたと思ったら、シルヴィアの腕から抜け出してあっという間に去って行ってしまった。
それと同時にドアが開く。
「……ハルさん」
「いらっしゃい……じゃなくて。おかえり、か」
おかえり、の言葉にじわじわ顔が赤くなるのを感じたシルヴィアは、
「き、今日からお世話になりましゅ」
勢いよく頭を下げてそう叫ぶ。
思いっきり噛んでしまった。しかも声が裏返った。
うわぁぁっと内心パニック状態で顔をあげられないシルヴィアに、
「とりあえず、中に入ったら」
クスクス笑ったハルはそう言って身体を端に寄せた。
地図を片手に聞いていた住所の前で立ち止まったシルヴィアは独り言のようにつぶやく。
「にゃー」
それに答えるようにシルヴィアの腕の中で鳴いたのは、案内人もといベロニカの黒猫。
とっても優秀なのですよと言われ、正直猫!? と侮った事を謝りたい。
可愛いし道中心細くないからいいかくらいに思っていたのだが。
「あなたのおかげで無事つけたわ」
人生初、辻馬車の乗り場が分からず困っていたらイースト街行きの馬車乗り場前まで案内してくれたし、迷うたびに鳴き声で誘導してくれた。
「ありがとう」
「にゃー」
ドヤーと聞こえるのは気のせいではないだろう。くすっと笑って頭を撫でると、ストンとシルヴィアの腕から降りた。
「思ったより、大きな家」
昔ベルが公爵家の物置部屋に住んでいた時に、謝罪とともに部屋を移動しないかと提案しに行ったことがある。
あんな狭い部屋にずっといるのは息が詰まるでしょ? と言ったら、
『この部屋は庶民のアパートの一室よりずっと広いのですよ』
好きで住み着いてるのでお気になさらずなんて笑い飛ばされたけれど、公爵家の物置部屋よりずっと広そうな外観。
「ベルったらオーバーね」
二人暮らしなら十分ね。もう少し荷物持ってくれば良かったかしら? なんて思っていると。
「そういえば、この数字って何かしら?」
住所の後ろの数字と家の外になんでこんなにドアがあるのかしら? それにこの階段は何? と首を傾げていると、
「にゃーにゃー」
足元で黒猫がくるくる周り、シルヴィアを見上げたあととてとてと歩き出す。
「着いてこいってこと?」
黒猫の後ろを追いかけるとトントンと軽快な足取りで黒猫は階段を上がっていく。
2階の一番奥で止まった黒猫を捕まえて、ドアを見ると住所の最後に書いてあった番号と同じ番号がドアに付いていた。
「あれ、これって?」
「にゃー」
一際大きく鳴いたと思ったら、シルヴィアの腕から抜け出してあっという間に去って行ってしまった。
それと同時にドアが開く。
「……ハルさん」
「いらっしゃい……じゃなくて。おかえり、か」
おかえり、の言葉にじわじわ顔が赤くなるのを感じたシルヴィアは、
「き、今日からお世話になりましゅ」
勢いよく頭を下げてそう叫ぶ。
思いっきり噛んでしまった。しかも声が裏返った。
うわぁぁっと内心パニック状態で顔をあげられないシルヴィアに、
「とりあえず、中に入ったら」
クスクス笑ったハルはそう言って身体を端に寄せた。