公爵令嬢の婚活事情〜王太子妃になりたくないので、好きな人と契約結婚はじめました〜
「メーちゃん冷たい」
「誰がメーちゃんですか」
変な愛称をつけないでくださいませ、と冷たくあしらうメーベルは、
「どう転ぶかなんて育てた当人にしか分かりませんわ」
だからまずはやってみるのです、と言い切る。
「まぁ、でもどうせ育てるなら一つでも気にいるところのある殿方の方がやる気はでますけど」
そう笑うメーベルに、
「カルロス殿下、やる気でる?」
王族なんて胃に穴が空きそうよ? と尋ねるシルヴィア。
「顔が好みなので」
ハードルが高いほど燃えますわと胸を張るメーベル。
「メーちゃんが男前過ぎる」
白薔薇の貴公子の方が優勝出来たのでは? と真面目な顔で言ったシルヴィアは、
「メーちゃんとのファーストダンスなら狙いに行くわ」
白薔薇の貴公子のエントリー票に彼女の名前を記入する。
「バカな事をおっしゃらないで。私と踊りたいなら男装でもして男性側のステップをマスターしてから出直しなさい」
誰が男前ですか、とメーベルはシルヴィアからエントリー用紙を取り上げ、
「とにかく私が言いたいのは噂は所詮噂。カルロス殿下を射止めるのもピンクローズの君の座もこの私」
彼女のよく通る凛とした声が教室に響くと、コソコソと飛び交っていた雑音と好奇の視線が消える。
そんな雑多な人目を全く気にせず、
「おサボりなんてこの私が許しませんわ。シルヴィア・ブルーノ。私と正々堂々と勝負なさい」
メーベルは扇子をシルヴィアに突きつけ宣戦布告した。
「ほんっと、私の周りの人間はどうしてこうもヒトの話を聞かないかしら」
どっちも狙ってないってばと呆れつつも、他の誰かみたいにこそこそ話すのではなくメーベルの自分で物申してくるところは嫌いではない。
物言いはともかく、多分何も言わず学園に来なくなった自分のことを気にかけてくれていたのだろうとシルヴィアは解釈する。
その証拠になんのかんのといいつつ、遠巻きにコソコソ噂話をしていた生徒達を蹴散らし、今日ずっと張り付いてくれていた彼女の存在はありがたかった。
「……メーちゃん、私が学園に来なくて寂しかったなら、寂しいって素直に言えばいいのに」
シルヴィアはふわっと表情を緩ませてありがとうと笑う。
「だ、誰がメーちゃんですか、誰がっ!! だから変な愛称をつけないでくださいませと」
大体あなたは、と説教が長くなりそうだったので、
「メーちゃん今度うちでやる月の番犬の新作発表兼ねたお茶会来る? 義姉も出るけど」
じゃん、とシルヴィアは月の番犬の印章が押された招待状を取り出す。
何かとすぐ影響を受けやすいメーベルだが、彼女が月の番犬の大ファンでプレミアム会員であることも、本日身につけている装飾品から手に持っている扇子まで全て月の番犬の商品である事も知っている。
そして、ベルに憧れていることも。
「まぁ! 公爵夫人直々に? それは是非とも参加させて頂きたいわ!!」
目を輝かせてベル様にお会いできるなんて、と頬を染める様はまるで恋する乙女だ。
「あー美少女のツンデレご褒美過ぎる」
ベルが可愛いを布教させたいの! と全力で熱弁していたことが確実に広まりつつあることを実感し、嬉しくなったシルヴィアは私も反撃方法を探して頑張りますか、と気合いを入れた。
「誰がメーちゃんですか」
変な愛称をつけないでくださいませ、と冷たくあしらうメーベルは、
「どう転ぶかなんて育てた当人にしか分かりませんわ」
だからまずはやってみるのです、と言い切る。
「まぁ、でもどうせ育てるなら一つでも気にいるところのある殿方の方がやる気はでますけど」
そう笑うメーベルに、
「カルロス殿下、やる気でる?」
王族なんて胃に穴が空きそうよ? と尋ねるシルヴィア。
「顔が好みなので」
ハードルが高いほど燃えますわと胸を張るメーベル。
「メーちゃんが男前過ぎる」
白薔薇の貴公子の方が優勝出来たのでは? と真面目な顔で言ったシルヴィアは、
「メーちゃんとのファーストダンスなら狙いに行くわ」
白薔薇の貴公子のエントリー票に彼女の名前を記入する。
「バカな事をおっしゃらないで。私と踊りたいなら男装でもして男性側のステップをマスターしてから出直しなさい」
誰が男前ですか、とメーベルはシルヴィアからエントリー用紙を取り上げ、
「とにかく私が言いたいのは噂は所詮噂。カルロス殿下を射止めるのもピンクローズの君の座もこの私」
彼女のよく通る凛とした声が教室に響くと、コソコソと飛び交っていた雑音と好奇の視線が消える。
そんな雑多な人目を全く気にせず、
「おサボりなんてこの私が許しませんわ。シルヴィア・ブルーノ。私と正々堂々と勝負なさい」
メーベルは扇子をシルヴィアに突きつけ宣戦布告した。
「ほんっと、私の周りの人間はどうしてこうもヒトの話を聞かないかしら」
どっちも狙ってないってばと呆れつつも、他の誰かみたいにこそこそ話すのではなくメーベルの自分で物申してくるところは嫌いではない。
物言いはともかく、多分何も言わず学園に来なくなった自分のことを気にかけてくれていたのだろうとシルヴィアは解釈する。
その証拠になんのかんのといいつつ、遠巻きにコソコソ噂話をしていた生徒達を蹴散らし、今日ずっと張り付いてくれていた彼女の存在はありがたかった。
「……メーちゃん、私が学園に来なくて寂しかったなら、寂しいって素直に言えばいいのに」
シルヴィアはふわっと表情を緩ませてありがとうと笑う。
「だ、誰がメーちゃんですか、誰がっ!! だから変な愛称をつけないでくださいませと」
大体あなたは、と説教が長くなりそうだったので、
「メーちゃん今度うちでやる月の番犬の新作発表兼ねたお茶会来る? 義姉も出るけど」
じゃん、とシルヴィアは月の番犬の印章が押された招待状を取り出す。
何かとすぐ影響を受けやすいメーベルだが、彼女が月の番犬の大ファンでプレミアム会員であることも、本日身につけている装飾品から手に持っている扇子まで全て月の番犬の商品である事も知っている。
そして、ベルに憧れていることも。
「まぁ! 公爵夫人直々に? それは是非とも参加させて頂きたいわ!!」
目を輝かせてベル様にお会いできるなんて、と頬を染める様はまるで恋する乙女だ。
「あー美少女のツンデレご褒美過ぎる」
ベルが可愛いを布教させたいの! と全力で熱弁していたことが確実に広まりつつあることを実感し、嬉しくなったシルヴィアは私も反撃方法を探して頑張りますか、と気合いを入れた。