公爵令嬢の婚活事情〜王太子妃になりたくないので、好きな人と契約結婚はじめました〜
その9.公爵令嬢と看病。
ハルが倒れた。
しかも高熱を出して。
「なんか、ちょっと可笑しいと思ったのよ!」
あんな大爆笑するところなんて見たことないもの、とシルヴィアはベッドの前で顔を覆って嘆く。
『お仕事ついでに、シルちゃんの顔が見たくって?』
なんて突然学園にやって来たハル。
それだけでも驚きだったのに、始終子どもみたいに笑っていたし。
その後も感情が振り切れたように、ハルはどこかふわふわしていたし。
不干渉、とは?
契約結婚時の取り決めはどこに行ったの!?
というくらいにやたらとシルヴィアの事を構い倒し、猫っ可愛がりし、甘やかしまくったあと唐突に電池が切れたようにダウンした。
公爵家の援助は受けないという話だったがそれどころじゃない。
というわけですぐさまベルを呼び出し今に至る。
テキパキと看病を終えたベルは、
「もう、しょうがないわね〜。ハルったらいつまで経っても子どもみたいなんだから」
まぁ、そこが可愛いんだけどと言いながら額に濡れタオルを乗せた。
「すごく苦しそうだわ。どうしよう、何か大きな病気だったら」
やっぱり公爵家の主治医を呼んだ方が、と不安げな声を上げるシルヴィアに、
「大丈夫ですよ、ただの知恵熱なので」
軽い口調でベルは告げる。
「知恵熱!? ちょ、ベル適当なこと言ってない!?」
それは子どもがかかるものでしょ!? と抗議するシルヴィア。
だが、ベルはフルフルと首を横に振り、
「いえ、本当です。たまにあるんですよ」
心配そうな表情を浮かべハルの頭をそっと撫でると、
「いっぱい、頭を使い過ぎちゃったんでしょうね。何を考えているのかは、教えてくれませんけど」
少し寂しげな口調でそう言った。
「ベル」
俯いたベルになんと声をかければいいのか分からず戸惑い、シルヴィアは静かに彼女の名を呼んだ。
が。
「もう! ハルったら熱出す直前なんて子どもかっ!? ってくらいに可愛いくて! 滅多に甘えてくれないのに、ふにゃふにゃふわっふわにデレて甘えてくるの! あー見たかった」
惜しかった、と悔しげに拳を握りしめ弟の可愛さを主張するベルを前に瞬時にそれは行き場を失くした。
「…………ベル、それが嫌だから話してくれないのではないかしら? 多分」
うわぁーとブラコン全開のベルに若干引き気味のシルヴィアだったが、
「えっ? でもギャップ萌えしません? 普段そつなくなんでもこなしちゃう子が見せるほんのちょっとした隙、とか」
とベルに聞かれ、シルヴィアははたと考える。
いつものハルは優しくて頼りになるお兄さんといった感じなのだけど。
朝と髪型が違う件を指摘され、ダンスレッスンにあわせて友人にアレンジしてもらったことを話せば、
『えー僕の方が絶対シルちゃん可愛くできるもん』
と何故か対抗意識を燃やしやや拗ねた口調で髪いじりたいっと主張して可愛くアレンジし直されたし。
お茶をしにカフェに入ってケーキを頼めば、
『わぁー僕もそれ食べたーい』
一口ちょうだいと口を開けてあーんと強請られた。
少し強引で子供っぽいのに、熱のせいかどこか気怠げで。全ての仕草がいつもより数倍増しで色っぽい。
そんな普段では絶対見られないハルの姿は。
「正直めちゃくちゃ可愛かったです///」
もう一回見たいとベルに同意せざるを得なかった。
しかも高熱を出して。
「なんか、ちょっと可笑しいと思ったのよ!」
あんな大爆笑するところなんて見たことないもの、とシルヴィアはベッドの前で顔を覆って嘆く。
『お仕事ついでに、シルちゃんの顔が見たくって?』
なんて突然学園にやって来たハル。
それだけでも驚きだったのに、始終子どもみたいに笑っていたし。
その後も感情が振り切れたように、ハルはどこかふわふわしていたし。
不干渉、とは?
契約結婚時の取り決めはどこに行ったの!?
というくらいにやたらとシルヴィアの事を構い倒し、猫っ可愛がりし、甘やかしまくったあと唐突に電池が切れたようにダウンした。
公爵家の援助は受けないという話だったがそれどころじゃない。
というわけですぐさまベルを呼び出し今に至る。
テキパキと看病を終えたベルは、
「もう、しょうがないわね〜。ハルったらいつまで経っても子どもみたいなんだから」
まぁ、そこが可愛いんだけどと言いながら額に濡れタオルを乗せた。
「すごく苦しそうだわ。どうしよう、何か大きな病気だったら」
やっぱり公爵家の主治医を呼んだ方が、と不安げな声を上げるシルヴィアに、
「大丈夫ですよ、ただの知恵熱なので」
軽い口調でベルは告げる。
「知恵熱!? ちょ、ベル適当なこと言ってない!?」
それは子どもがかかるものでしょ!? と抗議するシルヴィア。
だが、ベルはフルフルと首を横に振り、
「いえ、本当です。たまにあるんですよ」
心配そうな表情を浮かべハルの頭をそっと撫でると、
「いっぱい、頭を使い過ぎちゃったんでしょうね。何を考えているのかは、教えてくれませんけど」
少し寂しげな口調でそう言った。
「ベル」
俯いたベルになんと声をかければいいのか分からず戸惑い、シルヴィアは静かに彼女の名を呼んだ。
が。
「もう! ハルったら熱出す直前なんて子どもかっ!? ってくらいに可愛いくて! 滅多に甘えてくれないのに、ふにゃふにゃふわっふわにデレて甘えてくるの! あー見たかった」
惜しかった、と悔しげに拳を握りしめ弟の可愛さを主張するベルを前に瞬時にそれは行き場を失くした。
「…………ベル、それが嫌だから話してくれないのではないかしら? 多分」
うわぁーとブラコン全開のベルに若干引き気味のシルヴィアだったが、
「えっ? でもギャップ萌えしません? 普段そつなくなんでもこなしちゃう子が見せるほんのちょっとした隙、とか」
とベルに聞かれ、シルヴィアははたと考える。
いつものハルは優しくて頼りになるお兄さんといった感じなのだけど。
朝と髪型が違う件を指摘され、ダンスレッスンにあわせて友人にアレンジしてもらったことを話せば、
『えー僕の方が絶対シルちゃん可愛くできるもん』
と何故か対抗意識を燃やしやや拗ねた口調で髪いじりたいっと主張して可愛くアレンジし直されたし。
お茶をしにカフェに入ってケーキを頼めば、
『わぁー僕もそれ食べたーい』
一口ちょうだいと口を開けてあーんと強請られた。
少し強引で子供っぽいのに、熱のせいかどこか気怠げで。全ての仕草がいつもより数倍増しで色っぽい。
そんな普段では絶対見られないハルの姿は。
「正直めちゃくちゃ可愛かったです///」
もう一回見たいとベルに同意せざるを得なかった。