公爵令嬢の婚活事情〜王太子妃になりたくないので、好きな人と契約結婚はじめました〜
シルヴィアだってハルのベッドに潜り込んだ自分に非があると思っているし、反省もしているけれど。
「3歳児と同列の扱いは、私だって傷つきます」
私もうすぐ18歳ですよ、とシルヴィアはプイッとそっぽを向く。
「うん、僕が悪かったです」
ハル的には姪っ子も姉の義妹も等しく可愛い身内、なのだが。
この国で高貴な身分に分類され、大人にさしかかっている淑女に対して、3歳児扱いは彼女のプライドをひどく傷つけたのだろうな、というのは理解できる。
ベルに看病の礼と併せて石窯付きのキッチンを有したカフェで貸し切らせてくれるところに伝手はないか、と相談したところ、事情を聞いたベルから、
『え? うちでやればいいじゃない。人目を気にしなくていいし、石窯あるし』
と提案されたため、本日は公爵家の温室を借りてお茶会をする運びとなった。
「本当にそう思ってます?」
じとっと睨んでくるシルヴィア。
一見不機嫌そうな顔をしているが、目の前のパンケーキに興味津々だ。
プライドと欲望の間で揺れ動いているシルヴィアの葛藤が面白くて、肩を震わせるハルは、
「勿論ですよ、シルヴィアお嬢さま」
恭しく傅いて、シルヴィアの前に可愛い絵が描かれたラテアートを差し出した。
「わぁぁーミシェルだわ!」
ミシェル、とはシルヴィアが大切にしているオーダーメイドのテディベア。
これは元々『ラリーの冒険』という絵本に出てくるクマをモデルに作ったものだとルキから聞いている。
「うん、こっちはミシェルの分ね」
そう言ったハルはシルヴィアの隣にコトっと小さめのパンケーキが乗ったプレートを置く。
「すごいっ! ラリーのお茶会!!」
ぱぁぁーっとシルヴィアが興奮気味に目を輝かせた。
再現率の高さにわぁーっと何度も感嘆の声を上げるシルヴィア。
「機嫌治った?」
はっとしてちょっと澄ました顔を作りそう言ったシルヴィアは、
「今回は許してあげます」
上機嫌でそう言った。
「そろそろ話はついたかしら?」
タイミングを見計らったようにやってきたベルは、
「で、私の分は?」
私も食べたいっ! とお茶会への参加を希望する。
「勿論あるよ」
そう言ってハルはベルの前にもパンケーキと飲み物を置く。
「わぁ、ハルは相変わらず凝り性ね!」
目の前の光景をそう評するベル。
パンケーキは勿論だが、招待状は葉っぱの形をしているし、テーブルクロスやさりげなく置かれた懐中時計なども童話風のセッティング。
お茶会用のドレスを纒うシルヴィアの髪も猫耳のように見えるリボンカチューシャをベースに可愛くアレンジされているし、給餌するハルの衣装もカフェ店員制服風という徹底ぶり。
「石窯からDIYする姉さんには負けるけど」
さすがに勝手に庭に建築したりしないよと笑うハルに、
「あら、でもこの石窯結構活躍してるのよ?」
現に今日も使ったでしょう? とベルは応戦した。
ある程度お茶会が進んだところで、
「そういえばリヒトは?」
シルヴィアは姿の見えない可愛い甥っ子の行方を尋ねる。
「ルキに預けて来たわ」
まだお茶会に参加するには早いもの、とベルが返答したところで。
「じゃあ僕、ちょっとルキ様に差し入れに行ってこようかな?」
子守もなかなか大変だし、といってハルは軽食とコーヒーを手に離席した。
「3歳児と同列の扱いは、私だって傷つきます」
私もうすぐ18歳ですよ、とシルヴィアはプイッとそっぽを向く。
「うん、僕が悪かったです」
ハル的には姪っ子も姉の義妹も等しく可愛い身内、なのだが。
この国で高貴な身分に分類され、大人にさしかかっている淑女に対して、3歳児扱いは彼女のプライドをひどく傷つけたのだろうな、というのは理解できる。
ベルに看病の礼と併せて石窯付きのキッチンを有したカフェで貸し切らせてくれるところに伝手はないか、と相談したところ、事情を聞いたベルから、
『え? うちでやればいいじゃない。人目を気にしなくていいし、石窯あるし』
と提案されたため、本日は公爵家の温室を借りてお茶会をする運びとなった。
「本当にそう思ってます?」
じとっと睨んでくるシルヴィア。
一見不機嫌そうな顔をしているが、目の前のパンケーキに興味津々だ。
プライドと欲望の間で揺れ動いているシルヴィアの葛藤が面白くて、肩を震わせるハルは、
「勿論ですよ、シルヴィアお嬢さま」
恭しく傅いて、シルヴィアの前に可愛い絵が描かれたラテアートを差し出した。
「わぁぁーミシェルだわ!」
ミシェル、とはシルヴィアが大切にしているオーダーメイドのテディベア。
これは元々『ラリーの冒険』という絵本に出てくるクマをモデルに作ったものだとルキから聞いている。
「うん、こっちはミシェルの分ね」
そう言ったハルはシルヴィアの隣にコトっと小さめのパンケーキが乗ったプレートを置く。
「すごいっ! ラリーのお茶会!!」
ぱぁぁーっとシルヴィアが興奮気味に目を輝かせた。
再現率の高さにわぁーっと何度も感嘆の声を上げるシルヴィア。
「機嫌治った?」
はっとしてちょっと澄ました顔を作りそう言ったシルヴィアは、
「今回は許してあげます」
上機嫌でそう言った。
「そろそろ話はついたかしら?」
タイミングを見計らったようにやってきたベルは、
「で、私の分は?」
私も食べたいっ! とお茶会への参加を希望する。
「勿論あるよ」
そう言ってハルはベルの前にもパンケーキと飲み物を置く。
「わぁ、ハルは相変わらず凝り性ね!」
目の前の光景をそう評するベル。
パンケーキは勿論だが、招待状は葉っぱの形をしているし、テーブルクロスやさりげなく置かれた懐中時計なども童話風のセッティング。
お茶会用のドレスを纒うシルヴィアの髪も猫耳のように見えるリボンカチューシャをベースに可愛くアレンジされているし、給餌するハルの衣装もカフェ店員制服風という徹底ぶり。
「石窯からDIYする姉さんには負けるけど」
さすがに勝手に庭に建築したりしないよと笑うハルに、
「あら、でもこの石窯結構活躍してるのよ?」
現に今日も使ったでしょう? とベルは応戦した。
ある程度お茶会が進んだところで、
「そういえばリヒトは?」
シルヴィアは姿の見えない可愛い甥っ子の行方を尋ねる。
「ルキに預けて来たわ」
まだお茶会に参加するには早いもの、とベルが返答したところで。
「じゃあ僕、ちょっとルキ様に差し入れに行ってこようかな?」
子守もなかなか大変だし、といってハルは軽食とコーヒーを手に離席した。