後悔
見せたいものってなんだろう。
聞いても、見てのお楽しみだって言って教えてくれなかった。


「とりあえず、中入ろうぜ!」


3日振りに来たお店の中には、鏡やテーブル、椅子、道具をのせるカートなどが設置されていた。

内装は外観のイメージとぴったりあった落ちついたインテリア。
白や木のブラウンの店内に、落ち着いたグリーンのソファーがアクセントになっている。
まだ未完成なのに十分お洒落で素敵だ。

コーシくんすごい…と言いたいところだが、声にならなかった。
あまりに素敵で呆然と眺めていると、ケンジさんが私の顔を覗き込んだ。


「お~い。そっちじゃなくて、こっち!
お前に見せたいのは。」


ケンジさんが指差す方を目で追うと、そこにはカバーがかけられた大きな物体。


「いくぞ?」


ケンジさんは勢いよくバサッとカバーを外した。

それは、大きくて広い天板の木製の物で…。


「これって…」


既に設置されたそれはカウンターだ。
前にケンジさんが、ここにカウンターがつくって言っていた場所にすんなり収まっている。
最初からそこにあったみたいに。

ハッキリと認識したと同時に遅れて驚きが押し寄せた。


「こ、こ、こ、これっ、これって!」


ケンジさんとカウンターを交互に見る。


「お前予想以上の反応だな!」


あまりに驚いて吃りまくる私をガハハと笑うケンジさん。


「お前のだよ。
こんなんで良かったか?」


嬉しくて、うんうんと何度も無言で頷き、カウンターに飛びつきぎゅっと抱きついた。


「ケンジさん!ありがとうございます!
すごく、すごく嬉しい!」


くるっと内側へまわると、棚や引き出しが付いていて収納がしっかりしている。
天板のキレイな曲線に木目。
すっかり気に入ってしまった。
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