崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
(ま、話のテンポが悪いとかエピソードの入れ替えが出てきたり、詰まったりしたら一番時間がかかる作業になるんだけどね……)

 けれど今回は高尚と討論のように話ながら決めたお陰か、それともモデルとなる人物が後付けとはいえできたお陰か、いつもよりもキャラが動かしやすい。生き生きと動き出す彼ら、テンポよく会話するふたりを原稿用紙に落とし込み、ページをどんどん埋めていく。

 高尚と話していたあの内容のままでも良かったのだが、実際描いてみると一か所だけ気になった。
 それはヒロインの家にヒーローが泊まるシーンで、結局幼いころから片想いを拗らせているヒーローがバイト疲れで寝てしまったヒロインに『少しは警戒しろよ』とか言う部分だった。
(最初はポツリと呟くだけのシーンだったけど)
 でも、もう少し彼自身の葛藤があってもいいとそう感じたのだ。

 全て壊して自分を男として見て貰いたい。でも、それでヒロインを傷つけたくない。
 一番大事だからこそ壊したくて壊せないそのシーンを表現するために、涙を追加することにした。
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