崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 ――キャラ設定、ふたりの関係性、展開がここまで酷似する可能性は、どれくらいの確率なのだろう?

 そのまま読み進めると、深夜近くになんとかノートを写し終えたヒロインが無邪気に『泊って行けば』と提案し、その提案に自身を異性として意識されていないとムッとする描写へと続く。そして結局ヒロインの家に泊まったヒーローは、寝ているヒロインに『少しは俺を意識しろよ』とだけ口にして漫画が終わっており、あとがきのように『人気があったら、泊ったことを友人にからかわれるヒーローや、結局寝られなかったヒーローが可愛いパンケーキの朝食を作ってくれる続きも描こうかな』と浅見が次の展開を軽く説明するような呟きの投稿をして終わっていた。
 
 もちろんその次の展開も、私が今回提出したネームと酷似した内容である。
(違うのは、ネームで付け足したシーンだけ?)
 元のプロットでは浅見の漫画と同じ展開だったが、最後の最後で展開を変えた、〝寝ているヒロインに口づけたヒーローが、涙を流す〟というシーンだけが違っていた。

 どこかでプロットを見られた?そんな考えが浮かぶが、すぐさま頭を左右に振る。
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