崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
4.それもこれも、糧にするのだ⑤
エレベーターの階数表示の液晶画面を呆然しながら見上げた私は、その階数が『七』の表示に近付くのをどこか他人事のように眺めていた。
七階建てのオフィスビル、その四階から七階が加賀美法律事務所のフロアとのこと。そしてその最上階である七階に、高尚専属の事務室があるらしい。
(っていうのは、今教えて貰ったばかりなんだけど)
まさか弁護士事務所に、というより休日の彼氏の職場に行くことになるとは思わなかった。
「もうすぐ着くよ」
「う、うん」
「何。緊張してんの?」
「だってこんなとこ、来たことないし」
言いながら十人は軽く乗れそうな大きなエレベーターの中で、もう一歩高尚に近付く。場所が場所だからか、このやたらと広い空間が落ち着かない。
「ウチは交通事故の弁護依頼とかも受けるからな。車いすでも乗り降りしやすいように広めに作られてるんだ」
「なるほど……」
高尚の説明に納得する。言われてみれば手すりも太く、かつ少し低めの高さに設定されているのでバイアフリーにも力を入れているようだった。
七階建てのオフィスビル、その四階から七階が加賀美法律事務所のフロアとのこと。そしてその最上階である七階に、高尚専属の事務室があるらしい。
(っていうのは、今教えて貰ったばかりなんだけど)
まさか弁護士事務所に、というより休日の彼氏の職場に行くことになるとは思わなかった。
「もうすぐ着くよ」
「う、うん」
「何。緊張してんの?」
「だってこんなとこ、来たことないし」
言いながら十人は軽く乗れそうな大きなエレベーターの中で、もう一歩高尚に近付く。場所が場所だからか、このやたらと広い空間が落ち着かない。
「ウチは交通事故の弁護依頼とかも受けるからな。車いすでも乗り降りしやすいように広めに作られてるんだ」
「なるほど……」
高尚の説明に納得する。言われてみれば手すりも太く、かつ少し低めの高さに設定されているのでバイアフリーにも力を入れているようだった。