崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 打ち切りにならないように、少しでも面白くなるようにと自身の友人を紹介してくれた増本さんのために。
 私を気遣い、受け止め、そしていつも背中を押してくれる高尚のために。
 何より、私の漫画を楽しみにしてくれている読者のみんなのために。

「ん、やる気出てきた!」
 鞄からタブレットを取り出し電源を入れる。家ではなんだか息苦しくて仕方なかったけれど、ここでなら息ができるような気がした。
 
 一ページ、いや一コマでもいい。私の漫画のキャラたちが、私と一緒に一歩踏み出してくれますように。
 私はそう願いながら、執筆アプリを立ち上げたのだった。
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