崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
だから、やっぱりあれは長年一緒に頑張ってきたからこその偶然だったのだと、そう思ったのだが。脱稿したことに安堵したのも束の間、高尚からのメッセを知らせる通知が表示されているのを見て目を伏せる。
「あれ、みのり、珍しいね、スマホなんか見て」
「あー、うん。この間うっかり音信不通にしちゃって怒られたから、一応一日一回は見るように心掛けてるんだ」
「集中してるとすぐに時間が過ぎちゃうもんね。わかる」
私の説明に納得したように笑う、〝いつも通り〟の彼女の笑顔を見て、胸の奥がズシンと重くなった。
「それで、彼氏サン、なんだって?」
「原稿終わったら来るって」
「へぇ……。相変わらず愛されるんだねぇ、弁護士なんて仕事をしてるのに、彼女の部屋の掃除とかの雑用までしにくるんだ? だらしないところばっかり見てフられないようにしなよ?」
いつも通りのはずなのに、明るい口調のはずなのに。
(どうしてだろ、棘を感じる気がする)
「あ、そうそう。私みのりに言いたいことがあったんだよね」
「え、な、なに?」
「あれ、みのり、珍しいね、スマホなんか見て」
「あー、うん。この間うっかり音信不通にしちゃって怒られたから、一応一日一回は見るように心掛けてるんだ」
「集中してるとすぐに時間が過ぎちゃうもんね。わかる」
私の説明に納得したように笑う、〝いつも通り〟の彼女の笑顔を見て、胸の奥がズシンと重くなった。
「それで、彼氏サン、なんだって?」
「原稿終わったら来るって」
「へぇ……。相変わらず愛されるんだねぇ、弁護士なんて仕事をしてるのに、彼女の部屋の掃除とかの雑用までしにくるんだ? だらしないところばっかり見てフられないようにしなよ?」
いつも通りのはずなのに、明るい口調のはずなのに。
(どうしてだろ、棘を感じる気がする)
「あ、そうそう。私みのりに言いたいことがあったんだよね」
「え、な、なに?」