崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
「実は担当さんから連絡が来てさ、この間思いつきで上げた漫画が好評だったみたいで、コンペとは別に何かネームができたらなんでも送ってくださいって言われたの」
くすくすと笑う声を聞きながら、「凄いね」とだけ返す。つい素っ気ない返事になってしまったが、そんな私に気を悪くするどころか、むしろ機嫌よさそうに浅見が笑う。
「私ももしかしたら連載とかさせて貰えるかも! その時は一緒に載れると、いいねぇ?」
そう口にする浅見に、私も笑って「そうだね」と返さなくちゃいけないとわかりつつ、どうしても言葉にできなかった私はただ曖昧に頷いたのだった。
そしてそんなやり取りをしてから約一週間後のことだった。
私のスマホに増本さんから着信が入る。その連絡から十分もせずにスーツの高尚が私を迎えに来てくれた。
「ありがろとう。あと仕事、抜けさせてごめん。大丈夫だった?」
車のドアを開けてくれた高尚にお礼を言いながらそう確認すると、くしゃりと髪を撫でられる。この撫で方は、彼の元気づける時の癖らしい。
「気にすんな」
短くそう言った彼の声も、どこか悲しそうに聞こえた。
くすくすと笑う声を聞きながら、「凄いね」とだけ返す。つい素っ気ない返事になってしまったが、そんな私に気を悪くするどころか、むしろ機嫌よさそうに浅見が笑う。
「私ももしかしたら連載とかさせて貰えるかも! その時は一緒に載れると、いいねぇ?」
そう口にする浅見に、私も笑って「そうだね」と返さなくちゃいけないとわかりつつ、どうしても言葉にできなかった私はただ曖昧に頷いたのだった。
そしてそんなやり取りをしてから約一週間後のことだった。
私のスマホに増本さんから着信が入る。その連絡から十分もせずにスーツの高尚が私を迎えに来てくれた。
「ありがろとう。あと仕事、抜けさせてごめん。大丈夫だった?」
車のドアを開けてくれた高尚にお礼を言いながらそう確認すると、くしゃりと髪を撫でられる。この撫で方は、彼の元気づける時の癖らしい。
「気にすんな」
短くそう言った彼の声も、どこか悲しそうに聞こえた。