崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない

5.友達じゃなく、戦友として②

 最初に会議室へ入った増本さんに続き、私も会議室へと入る。私の後ろから高尚も入り、扉を閉めた。
 中では浅見と、そして浅見の担当だろう編集さんが座っている。突然の私たちの登場に、振り向いた浅見の顔が一瞬強張ったように見えた。

「浅見、あの」
「何? みのりたちもここで打ち合わせがあるの? あ、わかった。とうとう打ち切りになるのかな? それとも彼氏まで使って打ち切りにしないでって担当さんに頼むのかな、増本さんから紹介して貰ったエリート彼氏って、漫画の世界でどれだけ役に立つの? 贔屓かな。それともコネかな?」
「!」
 クスッと笑いながら言われたその言葉に絶句する。
 私含め誰も口を開かず、浅見の笑い声だけが会議室内に響いた。

「……それで?」
 私が何も言わないことにしびれを切らしたのだろう。忌々しそうに浅見がそう聞いてくる。
「今担当さんへ出したそのネームを、見せて欲しいんだけど」
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