崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
「でもここで頷けば、本来の目的である〝俺というモデル〟を観察し放題だな」
「な……、るほど」
にこりと口角を上げた彼と目が合い、ごくりと唾を呑む。
(こんな女性に困って無さそうな人がそうまでして私を説得する必要、ないと思うんだけど)
明らかに私を言いくるめるために紡がれた内容だが、前半の脅しに似た言葉はともかく後半のソレは何よりも甘美な響きに聞こえた。
それに彼は『もっかい』と言っていた。つまり私は覚えてないが昨日も同じ提案をされ、そして頷いたからこそ同意の行為に及んだということなのだろう。
「高尚さんは、それで、いいの? 私、厚化粧女だけど」
「不健康な生活でくまが取れないから仕方なく、だろ。それに告ってんのは俺なんだけど?」
疑問形の話し方をするくせに、自信が滲んでいて少し悔しい。だが私の答えなんてわかっていると言わんばかりのその表情は、やっぱり格好良く見えた。
(不安がないわけじゃないけど)
それでも、この手を取らないなんて私にはあり得ない。
「オッケーなら高尚って呼んでよ。サン付けされるのなんかむず痒いわ」
「いい彼女には、なれないかもだけど」
「な……、るほど」
にこりと口角を上げた彼と目が合い、ごくりと唾を呑む。
(こんな女性に困って無さそうな人がそうまでして私を説得する必要、ないと思うんだけど)
明らかに私を言いくるめるために紡がれた内容だが、前半の脅しに似た言葉はともかく後半のソレは何よりも甘美な響きに聞こえた。
それに彼は『もっかい』と言っていた。つまり私は覚えてないが昨日も同じ提案をされ、そして頷いたからこそ同意の行為に及んだということなのだろう。
「高尚さんは、それで、いいの? 私、厚化粧女だけど」
「不健康な生活でくまが取れないから仕方なく、だろ。それに告ってんのは俺なんだけど?」
疑問形の話し方をするくせに、自信が滲んでいて少し悔しい。だが私の答えなんてわかっていると言わんばかりのその表情は、やっぱり格好良く見えた。
(不安がないわけじゃないけど)
それでも、この手を取らないなんて私にはあり得ない。
「オッケーなら高尚って呼んでよ。サン付けされるのなんかむず痒いわ」
「いい彼女には、なれないかもだけど」