崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
正直私もネーム作りに熱中している時は電話なんてかかってきたら面倒だし、メッセージも頻繁に返すどころかスマホを見忘れることも多いタイプなので、返事を求められるような連絡だと気が重かった。だからこそこの〝何も意味のない連絡〟を一息ついた合間にやり取りするだけというのは気楽で、それと同時にそのルーズさが許されているというのもなんだか特別感がある。
お洒落な朝食をサッと作っていたところを見ると、思ったより食に興味があることは想像できたが、掃除道具にも思ったより関心があるらしく、多分家電量販店をぶらつくのも好きそう。確かに部屋はシンプルながらに洗練されていたし、どこを見ても私とは正反対で綺麗に整えられていたことを思い出してつい苦笑が漏れた。
「なに、彼氏のこと思い出してるの?」
「いやっ、あー、違わなくもない、けど」
「うわっ! 惚気られた!?」
「別に惚気ってわけじゃないって」
わざとらしいくらいのオーバーリアクションで驚きを表現する浅見に小さく吹き出しつつ、私は十八枚目の人物の下書きを進めながら口を開く。
「でも、まぁ楽しいな、とは思う……かも?」
「やっぱり惚気じゃない!」
お洒落な朝食をサッと作っていたところを見ると、思ったより食に興味があることは想像できたが、掃除道具にも思ったより関心があるらしく、多分家電量販店をぶらつくのも好きそう。確かに部屋はシンプルながらに洗練されていたし、どこを見ても私とは正反対で綺麗に整えられていたことを思い出してつい苦笑が漏れた。
「なに、彼氏のこと思い出してるの?」
「いやっ、あー、違わなくもない、けど」
「うわっ! 惚気られた!?」
「別に惚気ってわけじゃないって」
わざとらしいくらいのオーバーリアクションで驚きを表現する浅見に小さく吹き出しつつ、私は十八枚目の人物の下書きを進めながら口を開く。
「でも、まぁ楽しいな、とは思う……かも?」
「やっぱり惚気じゃない!」