崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
「やっぱり手を繋ぎたかったんだ?」
「高尚が拗ねたら面倒ってだけ」
「はぁ? 誰がいつ拗ねたんだよ」
想像と一言一句違わないからかい文句を言ってきた高尚にそう答えると、今度は彼がムスッとする。そしてさっきとは反対に私がプッと吹き出した。
「じゃ、帰るか」
「うん」
合流し、いざ今からデートというタイミングでの駅で交わす単語ではないが、私も迷わず彼の言葉に頷く。
(ま、これも家デートっていうデートだし)
なんて心の中で言い訳のようなことを考えながら、手を繋ぎ高尚の家へと向かって歩き出した。
漫画家である私に休日なんてあってないようなものだが、高尚は一応土日祝が休日だ。まだ付き合い始めたばかりということもあり、彼の休日に合わせてデートをすることにした私たちだが、結局は外じゃなく彼の家でのデートである。
家デートといっても、決して不埒なことをしているわけではない――どころか、私はタブレットを持ち込みひたすら漫画を描いて、高尚は高尚で同じ部屋にいながら漫画を描いている私に文句を言うどころか様々な本を傍らに積み上げながらノートパソコンとにらめっこをする。
「高尚が拗ねたら面倒ってだけ」
「はぁ? 誰がいつ拗ねたんだよ」
想像と一言一句違わないからかい文句を言ってきた高尚にそう答えると、今度は彼がムスッとする。そしてさっきとは反対に私がプッと吹き出した。
「じゃ、帰るか」
「うん」
合流し、いざ今からデートというタイミングでの駅で交わす単語ではないが、私も迷わず彼の言葉に頷く。
(ま、これも家デートっていうデートだし)
なんて心の中で言い訳のようなことを考えながら、手を繋ぎ高尚の家へと向かって歩き出した。
漫画家である私に休日なんてあってないようなものだが、高尚は一応土日祝が休日だ。まだ付き合い始めたばかりということもあり、彼の休日に合わせてデートをすることにした私たちだが、結局は外じゃなく彼の家でのデートである。
家デートといっても、決して不埒なことをしているわけではない――どころか、私はタブレットを持ち込みひたすら漫画を描いて、高尚は高尚で同じ部屋にいながら漫画を描いている私に文句を言うどころか様々な本を傍らに積み上げながらノートパソコンとにらめっこをする。