崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
彼曰く、『日々新しい事情や例外が生まれるんだ、弁護士は情報のアップデートが必須だろ』らしい。
これが付き合い始めたばかりのほやほやカップルである私と高尚の〝通常〟だった。
一緒にいながら、デートという前提で別々のことを存分にする。
自分のしたいことだけをしているのならわざわざ一緒にいる必要などはないが、それでもふっと一息つきたいタイミングで誰かが側にいるというのは案外心地いいものだった。
先週に引き続き高尚の部屋へと入る。
この部屋に入るのは今回で五回目だった。初めて来た時は、泥酔して無理やり家へと押しかけやらかしたあの夜。
だが、付き合うことにしたその翌週の土曜はネームに詰まりすぎてとてもデートなんてする余裕はなく、付き合い始めたばかりなのにと若干落ち込みつつ彼からの提案を断った。その時は折角の誘いをこの付き合い始めたタイミングで断るのかと呆れられるかな、なんて不安に思ったのだが、その更に翌週、高尚はまた普通に誘ってくれたのだ。
(しかも、私の漫画の方を心配しながら提案してくれたのよね)
これが付き合い始めたばかりのほやほやカップルである私と高尚の〝通常〟だった。
一緒にいながら、デートという前提で別々のことを存分にする。
自分のしたいことだけをしているのならわざわざ一緒にいる必要などはないが、それでもふっと一息つきたいタイミングで誰かが側にいるというのは案外心地いいものだった。
先週に引き続き高尚の部屋へと入る。
この部屋に入るのは今回で五回目だった。初めて来た時は、泥酔して無理やり家へと押しかけやらかしたあの夜。
だが、付き合うことにしたその翌週の土曜はネームに詰まりすぎてとてもデートなんてする余裕はなく、付き合い始めたばかりなのにと若干落ち込みつつ彼からの提案を断った。その時は折角の誘いをこの付き合い始めたタイミングで断るのかと呆れられるかな、なんて不安に思ったのだが、その更に翌週、高尚はまた普通に誘ってくれたのだ。
(しかも、私の漫画の方を心配しながら提案してくれたのよね)