崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 不規則な生活、慢性的な睡眠不足。健康に生きたいとは思うがそれでも漫画を優先してしまうのはもちろん漫画が大好きだからだ。けれどその考えを高尚にまで押し付けたいわけではない。
 生活リズムを守っている漫画家だっているし、そう考えると相応しくないのは漫画家ではなく〝私〟なのだろう。

「私でごめんね」
 思わずそんな言葉が溢れたのはどうしてだったのか。
 彼に与えられるばかりで引け目を感じていたからかもしれない。

「は?」
「いや、は? って言われても」
「いやいや、は? 以外の感想出ないだろ」
 だが、そんな私の感傷的な言葉を聞いた高尚は寄り添うどころか盛大に嫌な顔をした。
 そういうとこだぞ、お前。

「私でごめんねって何」
「何ってわけじゃないんだけど、ただちょっとあんまりいい彼女じゃないなって思ったっていうか」
「まぁ俺はいい彼氏だからな」
 私の発言に当たり前のようにそう言ってのけるところが高尚らしい。
「でもさ、正直デートって言いながらほぼ会話しないし」
「今してるけど」
「当たり前のことが当たり前にできないでしょ」
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