崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
「言われたのはどういう状況で? どれくらい付き合った彼女に言われた? その時高尚はやっぱり焦ったの? なんて返事して対応した?」
「いや、インタビューかよ……」

 グイグイと質問攻めにすると、流石に彼の顔が呆れたものになる。
(でもこれは漫画家として気になるじゃない)
 普通は元カノの話を出されたり、ましてや比べられたりすれば気分を害するものなのだろう。
 だがこれほどのチャンスもない。もしかしたら今の連載の打ち切りを打破する大事なキッカケになるかもしれないし、それに。

「昔の恋人は昔の恋人でしょ。今、その……好かれてるのが私なら、別に気にならないし」
 そう思う気持ちも本当だった。
 過去に彼が誰とも付き合ったことがないだなんて流石に思えない。けれど今付き合っているのは私で、そして私だけを見てくれているのなら、昔の話が出たとしても構わなかった。
 もちろん頻繁に元カノの話が聞きたいわけではなく、また堂々とされていたりすれば腹立たしく思うだろうが、うっかり口を滑らせてこんなに焦っている彼が相手だからというのも大きいだろう。
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