崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
1.責任の所在はどこにある①
増本さんに連れられたのは半個室になっている創作居酒屋だった。店内は間接照明で全体的に温かみのある雰囲気をしており、どこかこじんまりとしていて可愛らしい。店主がひとりで全ての料理を作っているらしく、注文してから出てくるまでに少し待たなくてはならないということだったため、先に着いた私たちは紹介してくれるという私の漫画の救世主になるかもしれないモデルを待たずにいくつかの創作料理と生ビールを頼むことにした。
ビールはすぐに出てきたもののやはり料理は出てくるまで少し時間がかかるらしく、「先に飲んでいてもいいですよ」と増本さんから言われたものの、ジョッキの周りに水滴ができる様を手持ち無沙汰気味に眺めながら料理と、今から来る男性を待つ。
そして最初の料理が出てきたのとほぼ同時に私たちの席へと来たのは濃紺に同色のストライプがさり気なく入ったスーツの、不機嫌さを隠さないやたらと顔が整った黒髪で背の高い男性だった。
「は? んだよ、今日は秀次が相談あるっつーから来たんだけど」
「ははっ、わざわざサンキューな、高尚。あ、先生、彼が言ってた男で名前は村地高尚。俺とは高校の同級生なんだ」
ビールはすぐに出てきたもののやはり料理は出てくるまで少し時間がかかるらしく、「先に飲んでいてもいいですよ」と増本さんから言われたものの、ジョッキの周りに水滴ができる様を手持ち無沙汰気味に眺めながら料理と、今から来る男性を待つ。
そして最初の料理が出てきたのとほぼ同時に私たちの席へと来たのは濃紺に同色のストライプがさり気なく入ったスーツの、不機嫌さを隠さないやたらと顔が整った黒髪で背の高い男性だった。
「は? んだよ、今日は秀次が相談あるっつーから来たんだけど」
「ははっ、わざわざサンキューな、高尚。あ、先生、彼が言ってた男で名前は村地高尚。俺とは高校の同級生なんだ」