崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない

3.乗り越えろ、修羅場!①

「凄い、本当に人物の下絵終わったんだ!」
 高尚の家から帰った翌日。月曜日から早速アシスタントへと来てくれた浅見に驚かれつつ、私は自慢気ににこりと笑った。
「実は増本さんに既に下絵チェックもして貰ってるんだよね」
「えー、みのり優秀! 天才!」
「それほどでも」
 えへえへと浅見からの賛辞にしっかりおだてられながらいい気分で自身の席へと向かう。

 外ではタブレットで描いていたが、家では液晶タブレットで作業している私は早速パソコンの電源を入れた。
 まだ細かい部分や浅見に今から描いてもらう背景の部分は白紙だが、高尚の家でほぼ完成まで下絵を入れたお陰で日曜日中に増本さんへとデータ提出ができた。
 もちろん編集部は日曜日休みなのでチェックは翌日の月曜日になるが、朝一で確認してくれたらしく、昼前には少しの直しはあったものの全体的にはOKを貰っている。
(昼前で朝一ってのもおかしいけどね)
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