崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
 どういう意味だ、なんて考えていると、シャワーだけであがってきた浅見がスマホを見ながら首を傾げている私へと気が付いた。

「何かあった?」
「あー、いや。ちょっと意味がわからなくて」
「? 編集さんから?」
 不思議そうにそう聞かれ首を振る。一瞬躊躇したものの、浅見は私に彼氏ができたことも喜んでくれてたし、とそう考え直し先ほどのやり取りで私の返信内容までを教えた。その返信を見てどう感じるか、どういう意味合いで捉えたのかを聞きたかったのだ。
(それに、変なことは書いてないけど、高尚からの返事の内容を勝手に誰かに教えるのってあんまりしたくないし)
 もちろんそれは高尚だけではなく、相手とのプライベートのやり取りを勝手に共有すべきではないという考えからのものである。流れで飯テロ写真が送られてきたことは伝えたが、画像は当然見せてはいない。

「……え、責任取ってって送ったの?」
 なんとなくどう受け取ったかを聞きたかっただけなのだが、私の質問に愕然とした表情になる浅見。そんな彼女に私も内心焦ってしまう。
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