崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
わざわざ家に、だなんてどんな話かとハラハラしていたが、蓋を開けてみればなんてことはなく、単純に本が重いから家まで私にきてくれたということなのだろう。
「荷物持ちは高尚に言えばいいから。あいつ、俺相手なら持ってこいとか言うだろうが、先生相手なら格好つけて取りに来るだろうし」
「増本さんには甘えてるんですね」
「――、あぁ。甘えてんの。そっか、それをわかってやれるなら紹介してよかったな」
そういう意味で紹介したわけじゃなかったけどね、なんて付け加えられ思わず恥ずかしくなって目を逸らすが、からかい以上に増本さんの声の穏やかさから安堵感が伝わってくる。
(お眼鏡に敵ったなら、嬉しいな)
そう感じると同時に、最初に増本さんが言っていた『欠点とのギャップが人間味を生むし恋に落ちる要素』という言葉の意味も実感した。
私は、お金と顔も装備してて弁護士という職業の高尚ではなく、自分と同じ仕事をしてる主人公の漫画を読みたいと探したり、深夜に飯テロなんてくだらないやり取りができる彼に惹かれているのだから。
「荷物持ちは高尚に言えばいいから。あいつ、俺相手なら持ってこいとか言うだろうが、先生相手なら格好つけて取りに来るだろうし」
「増本さんには甘えてるんですね」
「――、あぁ。甘えてんの。そっか、それをわかってやれるなら紹介してよかったな」
そういう意味で紹介したわけじゃなかったけどね、なんて付け加えられ思わず恥ずかしくなって目を逸らすが、からかい以上に増本さんの声の穏やかさから安堵感が伝わってくる。
(お眼鏡に敵ったなら、嬉しいな)
そう感じると同時に、最初に増本さんが言っていた『欠点とのギャップが人間味を生むし恋に落ちる要素』という言葉の意味も実感した。
私は、お金と顔も装備してて弁護士という職業の高尚ではなく、自分と同じ仕事をしてる主人公の漫画を読みたいと探したり、深夜に飯テロなんてくだらないやり取りができる彼に惹かれているのだから。