崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
だがそこを説明するとうっかり喧嘩しワンナイトやらかしてしまったことまで口を滑らせそうで、私は内心でだけそう付け足した。
「こうやって家に来てくれたのも、彼氏宛の荷物預かっただけだよ。まぁ連載が打ち切り寸前だからこその様子見もあったのかもしれないけどさ」
明るく茶化してそう言いながらケーキをもう一口。
「このケーキだって流石に手ぶらじゃ、という増本さんの気遣いじゃないかな」
これでもうこの話は終わり、そんな雰囲気を出し暗に伝えたつもりだったのだが、チラッと見えた浅見の表情が刺々しくてギクリとした。
「男を紹介? 編集が? 差し入れだって、私は貰ったことないけど」
「あ、浅見? 今……」
「――ううん。いいなぁって言っただけ! やっぱり連載作家は違うよね」
(そんな感じじゃなかったけど)
だがハッキリとは聞こえなかったし、と私は自分に言い訳し、僅かに聞こえた内容を流す。これから原稿作業もあるのだ、揉め事は起こしたくない。
「みのりの彼氏ってどんな人なの?」
「え? えっと、うーん、ちょっと子供っぽいかな」
ごめん、高尚! と内心謝罪しつつ、少しだけ貶すようにそう話す。
「こうやって家に来てくれたのも、彼氏宛の荷物預かっただけだよ。まぁ連載が打ち切り寸前だからこその様子見もあったのかもしれないけどさ」
明るく茶化してそう言いながらケーキをもう一口。
「このケーキだって流石に手ぶらじゃ、という増本さんの気遣いじゃないかな」
これでもうこの話は終わり、そんな雰囲気を出し暗に伝えたつもりだったのだが、チラッと見えた浅見の表情が刺々しくてギクリとした。
「男を紹介? 編集が? 差し入れだって、私は貰ったことないけど」
「あ、浅見? 今……」
「――ううん。いいなぁって言っただけ! やっぱり連載作家は違うよね」
(そんな感じじゃなかったけど)
だがハッキリとは聞こえなかったし、と私は自分に言い訳し、僅かに聞こえた内容を流す。これから原稿作業もあるのだ、揉め事は起こしたくない。
「みのりの彼氏ってどんな人なの?」
「え? えっと、うーん、ちょっと子供っぽいかな」
ごめん、高尚! と内心謝罪しつつ、少しだけ貶すようにそう話す。