崖っぷち漫画家はエリート弁護士の溺愛に気付かない
「ごめん、ちょっと電話出てくるね! 片付けはこっちでやっとくから気にせず置いておいて」
「え?」
「今回の原稿もありがとう、アシスタント代はいつもの口座に振り込んどくね」
「ちょ、みのり!?」
片手でごめんのポーズを取り慌ただしくリビングへと移動する。
突然のことで戸惑っている浅見には申し訳ないが、流石にデビュー以降もう八年来の友人兼同業者なのだ。私も浅見の原稿を手伝ったことがあるし、浅見が手伝いに来てくれたことも初めてでなく、連載中は互いに激務になるのでこのくらいのやり取りはいつも通りといえばそれまでで、私は若干彼女のことが気になりつつも作業部屋へ残したまま通話ボタンを押す。
「も、もしも――」
『遅ぇ!』
「なっ」
高尚の第一声に唖然とする。
「こっちだって暇じゃないんだけど!?」
『仕事終わったって秀次から聞いた』
「原稿提出したら全部終わりじゃないの! ていうか機嫌悪いかしらないけど、キャンキャン騒ぐなら切るから!」
何故か既に苛立っている高尚に釣られて私も苛立った。寝不足のせいで気が立っていたというのも理由のひとつだろうが、それ以前に高尚が悪いと思う。
「え?」
「今回の原稿もありがとう、アシスタント代はいつもの口座に振り込んどくね」
「ちょ、みのり!?」
片手でごめんのポーズを取り慌ただしくリビングへと移動する。
突然のことで戸惑っている浅見には申し訳ないが、流石にデビュー以降もう八年来の友人兼同業者なのだ。私も浅見の原稿を手伝ったことがあるし、浅見が手伝いに来てくれたことも初めてでなく、連載中は互いに激務になるのでこのくらいのやり取りはいつも通りといえばそれまでで、私は若干彼女のことが気になりつつも作業部屋へ残したまま通話ボタンを押す。
「も、もしも――」
『遅ぇ!』
「なっ」
高尚の第一声に唖然とする。
「こっちだって暇じゃないんだけど!?」
『仕事終わったって秀次から聞いた』
「原稿提出したら全部終わりじゃないの! ていうか機嫌悪いかしらないけど、キャンキャン騒ぐなら切るから!」
何故か既に苛立っている高尚に釣られて私も苛立った。寝不足のせいで気が立っていたというのも理由のひとつだろうが、それ以前に高尚が悪いと思う。