歩くリラ冷えの風

椿沙の登場と一瞬の出来事に翔真が唖然としていると、椿沙はクルリと翔真の方を振り返り、落ち着いた声で「翔。大丈夫だった?」と言った。

「お、おぅ、、、。」
「付き合うなら、女は慎重に選びなよ?」

そう言うと、椿沙はまた、トン、トン、トンと靴音を響かせ歩き出すと、自分の教室である3組へと入って行った。

椿沙が教室に戻るのを見届けると、翔真は里佳の目の前に行き、「俺たち終わりにしよう。」と言うと、2組の教室に入り、自分の席についた。

すると、今の出来事を見ていた翔真の右斜め後ろに座る女子2人組が「ねぇ、小日向って椿沙ちゃんと仲良いの?」「翔って呼ばれてたよね?」と話し掛けた。

翔真は振り返ると、「幼稚園からの幼馴染だから。」と答えた。

「そうなんだ!」
「それにしても、さっきの椿沙ちゃん、めちゃくちゃかっこよかったよね!」
「ね!マジ惚れた!」
「てかさ、小日向って、俳優の村◯虹郎に似てない?東◯ベ2の一虎役してた時の!」
「分かるー!でも、村◯虹郎の方がカッコいいけどね。」
「そりゃそうでしょー!」

勝手なことばかり言ってる女子たちの会話に「うるせーよ。」と呟く翔真。

そう、椿沙と翔真は幼稚園からの幼馴染で家も近所なのだ。

小さい頃から椿沙は落ち着いていて、誰とも群れず一人で過ごすことが多い子だった。

だからと言って、嫌われているわけでも、虐められているわけでもなく、ただ一人が好きなだけ。

小さい頃から謎が多い不思議な子なのだ。

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