怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
 しらけた空気が流れ始めたところで、オーダーした料理が運ばれてきた。美味しそうな匂いは、私の身体に空腹を思い出させたのだった。

「ね、とりあえず、ご飯食べながら話しましょう? お腹空いてたら落ち込むばかりだもの」

 私を気遣うように、凛はそう言ってくれた。

 私と凛はデミグラスソースのオムライス、優流はカニクリームコロッケを注文していた。コロッケの香ばしい匂いを前にして、揚げ物を頼んでも良かったなと、私は少しだけ後悔したのだった。

 カニクリームコロッケには粉チーズが乗ったグリーンサラダと飾り切りされたレモンが添えられており、レモンの上には小さなカニのピックが二本刺さっている。とってもオシャレだが、お子様ランチのような可愛らしいひと皿である。

「……コロッケ、ひとつ食べますか?」

「い、いえ! 大丈夫です!」

 よほど物欲しそうな顔をしていたのか、優流にそう言われてしまい、慌てて首を横に振る。恥ずかしさを紛らわすように、私はオムライスを食べ始めた。

「っ、美味しい……!」

「でしょう? ここのお店は食事からケーキまで、全部のメニューが美味しいのよ。それに店長の趣味で、見た目も可愛いの」

 オムライスの卵を捲ると、ご飯の中に小さな星型に型抜きされたニンジンが混ざっているのが見えた。
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