怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
「ああ、彼も別ブランドで働く美容部員で、学校時代の同級生なんです」

「そうなんですね、失礼しました。初めまして、高階さんとお付き合いしている、御堂と申します」

「あ、彼氏さんでしたか! 初めまして、月島と申します」

 優流と涼太は、そう言ってぺこりと挨拶した。

 話を合わせるためとは分かっていても、優流に付き合っていると言われてドキドキしている自分がいた。

 しかし、私は優流に対して、違和感を感じていた。

 なんだか……御堂さん、殺気立ってる?

「月島さんも、駅まで歩きですか?」

「いえ、家がこの近くなので、自転車なんです」

「……そうでしたか。では、月島さんもどうぞお気をつけて」

「はい、じゃあ、高階さん、おやすみなさい」

「は、はい。月島君も、おやすみ」

 私と涼太がおやすみと言い合った途端、なぜか優流の顔がとても険しくなった。

「おやすみなさい。では高階さん、行きましょうか」

「は、はい……?」

 涼太に短く挨拶してから、優流は私の腰に手を添えてさっさと歩き出す。それはまるで、涼太から早く離れたいかのような態度だった。
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