怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
優流の右腕には、肘から手首にかけて大きな赤紫色の痣があった。地肌との色の違いが大きいこともあり、それはとても目立って見える。
「一旦、痣のない箇所で色を合わせていきますね。お手元、失礼します」
試し塗り用の小さなボトルに入れたファンデーションを、一色ずつ優流の腕に塗っていく。すると、彼は机に並んだボトルを見ながら呟いた。
「まさか……ファンデーションにこんなに色があるなんて思ってもみませんでした」
「ふふっ、そうなんです。うちのブランドは、ベースメイク用品の色の豊富さが強みなんです」
私が持ってきたファンデーションの色は、全十五種類。日焼けした肌から色白な肌に至るまで、あらゆる肌色に合わせられるようになっている。優流の腕にどの色が合うか分からなかったので、全色持ってきたのだ。
「どちらかと言えばピンクより黄色寄りのお肌なので……オークル系かイエローオークル系のお色が良さそうですね。肌のトーンを明るくしたいですとか、お好みはあります?」
「好みというか……なるべく白浮きしないような、自然な色だと嬉しいです」
「なるほど、分かりました。それでは、一番馴染んで見える、オークル系三色で試していきましょうか」
とは言ったものの、普通の肌の上と、痣の上で同じ色に見えるとは限らない。私はバニティケースの中から、‘‘秘密兵器’’を取り出した。
「一旦、痣のない箇所で色を合わせていきますね。お手元、失礼します」
試し塗り用の小さなボトルに入れたファンデーションを、一色ずつ優流の腕に塗っていく。すると、彼は机に並んだボトルを見ながら呟いた。
「まさか……ファンデーションにこんなに色があるなんて思ってもみませんでした」
「ふふっ、そうなんです。うちのブランドは、ベースメイク用品の色の豊富さが強みなんです」
私が持ってきたファンデーションの色は、全十五種類。日焼けした肌から色白な肌に至るまで、あらゆる肌色に合わせられるようになっている。優流の腕にどの色が合うか分からなかったので、全色持ってきたのだ。
「どちらかと言えばピンクより黄色寄りのお肌なので……オークル系かイエローオークル系のお色が良さそうですね。肌のトーンを明るくしたいですとか、お好みはあります?」
「好みというか……なるべく白浮きしないような、自然な色だと嬉しいです」
「なるほど、分かりました。それでは、一番馴染んで見える、オークル系三色で試していきましょうか」
とは言ったものの、普通の肌の上と、痣の上で同じ色に見えるとは限らない。私はバニティケースの中から、‘‘秘密兵器’’を取り出した。