月とスッポン      ありのままは難しい
「はい」と即答する。

「私、運転も好きですけど、神社仏閣とかお城とかの歴史を生き抜いてきたモノを見るのが好きなんです。
だから、歴史上に起きた実際の場所に行って見たくて。それに大河さんが勝手についてくるようになって」

全部ぶちまけてやる。私にやましい事はない。

「行く先々で、課外授業が始まるんです。『あの建物はぁ』とか『城とはぁ』とか『ここの城主はぁ』とか」

1人は目を見開き、1人は口を開け、もう一つは笑いを堪えているのか手で口を隠している。

「知らない事を話してくれるので『へー』とは思うんですけどね。でも、ぶっちゃけあんまり覚えてないんですよね。何を説明してくれてるのか」

その場では『なるほど』とはもちろん思っている。だけど、それを覚えているかと聞かれれば全く覚えていない。

大河の語り損だ。

ただ本人は多分それをわかっている。
言いたいだけなんだと私は思っている。
言いたければ言えばいい。
黙っていられるよりは数百倍マシだ。

それに初めてついてきた時に宣言している。
『気を使わない。気を悟らない。思った事は全部言え』と

だから、大河は思った事を全部言葉にしているに過ぎないし、私も・・・

言葉にしているのか?

< 11 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop