月とスッポン ありのままは難しい
即答すればなんら不満顔をする。
面倒だ。
このまま話を続けても眉間の皺はのびそうにない。ならば話を話を変えるだけ。
「あそこでも御朱印がいただけるそうですよ」
「微妙寺ですね」
「ちっちゃいですね」
と言いつつ中に入っていく。
名前の通り微妙だったらどうしようかと別の意味でドキドキする。
大河が御朱印を頂いている間に、ゆっくりと見て回る。と言っても小さいのですぐに終わってします。
外に出て、遠くから本像を眺める。
力強い不動明王から優しさに満ち溢れた十一面観音像を眺めれば、ほっとする気がする。
「《微妙寺は、三井寺の別所で元々は長等公園の山上にあったのを、1979年 昭和54年に移築されたそうです》」
人の手をまた指示棒にして、南の方角を指す。
「《別所とは平安期以降、広く衆生を救済するため本境内の周辺に設けられた別院で、微妙寺・水観寺・近松寺・尾蔵寺・常在寺があり、総称して【三井寺五別所】と言います。
微妙寺は994年 正暦5年に慶祚阿遮梨によって開基されたと伝えられ、現在の尾蔵寺と常在寺は廃寺となっていますが、常在寺は新羅善神堂の、尾蔵寺は近松寺の辺りにあったそうです」
振りかざした手を逆方向に向けたかと思えば、また大きく元の場所へと手を向ける。
こいつ、またくだらない事で楽しんでいる。
このまま続けられては堪らないと微妙堂の前にある【文化財収蔵庫】へと逃げ込む。