月とスッポン ありのままは難しい
ガラス越しに「ねー」と同意を求めれば「そうですね」と私の頭に大河の顎があり、すっぽりとはまっている。
近い、近すぎる。
抜け出そうとさりげなく動こうとする。
せめてもの抵抗にと、両手を後ろで組み、空間を作る。
「《狩野派の現存する代表作に【唐獅子図屏風】、【洛中洛外図屏風】、【聚光院障壁画】などがあります。
【唐獅子図屏風】は、狩野永徳作で安土桃山時代の豪壮華麗な絵画様式を代表する作品で国宝に指定され、皇居三の丸尚蔵館に所蔵されています》」
「皇居。近くにあったんですね」
「はい。ですが、改装中の為見ることはできません」
「距離は近くても、時間的に遠い」
「《【洛中洛外図屏風】は【上杉本】ととも呼ばれて、上杉本は織田信長が狩野永徳に描かせたもので、米沢藩上杉家に伝来し、現在は上杉博物館に所蔵されています》」
「上杉博物館ってことは?」
「山形です」
「遠っ」
「そして【洛中洛外図屏風】は【上杉本】に対して【舟木本】と呼ばれる作品もあり、どちらも京の都を写した有名な屏風ですが、【舟木本】は、岩佐又兵衛が描いたもので、東京国立博物館に所蔵されています》」
「近っ」
「その他にも京都の大徳寺 大仙院にもあり、重要文化財に指定され、すべて室町時代の名作です」
「こうやって間近で見れるのが幸運ってこと?」